林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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BECASSINE

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フランスの漫画『ベカシーヌ』シリーズのうち『ベカシーヌの仕事探し(直訳は「百の職業」)LES CENT METIERS DE BECASSINE」(Gautier-Languereau, 2006)を頂戴した。いやあ面白かったです。

ベカシーヌはエミール=ジョゼフ=ポルフィール・パンション(Émile-Joseph-Porphyre Pinchon)の絵、コムリ(Caumery 本名は Maurice Languereau)の文によって一九〇五年に創刊された少女雑誌『La Semaine de Suzette』に連載されて長らく人気を博した。パリに出てきた善良でとぼけたブルターニュ娘(要するに田舎娘)ベカシーヌがドタバタを繰り広げる。ベカシーヌとは普通名詞なら「馬鹿なお人好しの娘」の意。この漫画の普及によってブルターニュ娘の歪んだイメージができてしまってブルターニュの人たちからは批判を浴びたらしい。

数多くのアルバム(漫画集)が出ているが、この「仕事探し」の初出は一九二〇年のようである。それが今でも発行されている。大正九年作の漫画の新刊となると……日本なら『正チャンの冒険』くらい(?) とにかく二十世紀初頭の時代が写真ともまた違った姿ではっきり見えてさらにストーリーがあるので人情の機微も分る。こっけいと言ってもそんなに奇想天外なものではなく実生活に即した微苦笑というところも好ましい。

例えば本書で職探しの旅に出たベカシーヌはいろいろな人物に出会ってその下で働き、別れてはまた余所へ向かう。好人物だったイギリス人の雇い主が一人で馬に乗って行ってしまい、ちょっと落ち込んでいた娘は、気分を変えるため子供の頃から大好きだった写真を撮ろうと思い立つ。写真屋を探したところその町には二軒あった。表通りの店は高級そうなので裏通りの安い写真屋へ入って主人のジェラティーノ氏にボートを漕いでいる写真を撮ってもらうことになる。

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貧乏写真師ジェラティーノ氏は家賃をためており、その日には大家が執達吏といっしょに差し押さえにやってくることになっていた。ベカシーヌがポーズをしているとき、ちょうど停電になり、写真師が様子を見に行ったところへ大家がやってきて、ポーズのままじっと動かない娘を見付け「おい、このマネキンも差し押さえておけ!」と命じたのでベカシーヌはあわてて逃げ出す……とまあこれが「差し押さえられそうになるベカシーヌの巻」。

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個人的にはジェラティーノ氏がシャッターを切るときにどういう言葉をかけたかというのが気になった(これはちょっとしたマイ・テーマ)。「チーズ」とか何とか(フランス語ならフロマージュですけど、まさか、それは言いませんね)。この漫画で写真師が発する言葉は単純に「笑って下さい、そう、大丈夫、いいですよ、もう動かないで下さい」だった。

Souriez… Là, nous y somme, ça plaira beacoup...
Ne bougez plus!

それはそうだろう、今みたいにパシャっと撮れるわけじゃないのだ。しばらくの間じっとしていなくてはならなかった。「動かないで」と言うのが当然である。

五分間窮屈な不動の姿勢を続けてベカシーヌの表情がだんだんひきつってくる。それを見た写真師は電気ショックの機械で表情を緩めようとするのだが、停電になって、そこへ執達吏が……。

良き時代かな(?)

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by sumus2013 | 2015-05-18 21:22 | 古書日録 | Comments(0)
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