林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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モダンな親王

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『週刊読書人』第1986号(読書人、一九九三年六月七日)、創刊35周年記念号。『澁澤龍彦全集』(河出書房新社)の刊行開始にちなみ「モダンな親王 澁澤龍彦」と題した特集号。巖谷國士と谷川雁の対談が三頁にわたって掲載され戦後における現象としての澁澤の在りようが分りやすく語られている。気にかかったところを二三引用してみよう。まず人柄について。

巖谷[略]ただ、澁澤さんと三島由紀夫の関係は、最初、サドで澁澤さんがデビューするときに序文を書いてもらっているわけで、面白いのは三島由紀夫に序文を頼もうと思ったけれど、澁澤さん自身が恥ずかしくて電話をかけられなかったのね。
谷川 妹さんが代わりに電話をかけた。
巖谷 そう、妹さんがかけたらすぐOKが得られた。澁澤さんとしては年長の尊敬すべき人物と思っていたわけですね。

この逸話、『全集』別巻2の年譜を見るとこう書かれていた。一九五六年。

《五月、〈彰考書院版『サド選集』に序文をもらうために〉、〈三島由紀夫にはじめて手紙を出した〉(『三島由紀夫おぼえがき』あとがき)。澁澤幸子によれば(既出のインタヴュー)、雑誌編集者だった同氏が兄にたのまれて〈代理〉と称し、電話で序文を依頼したのが最初だったという。快諾され、以後、この作家との手紙のやりとりがはじまる。》

そして澁澤の作品について。

《谷川 僕が訳したピエール・マクシム・シュールの『想像力と驚異』は『胡桃の中の世界』の下敷きとして用いられているところがあるんですが、それに気づいてちょっとがっかりした記憶があります。
巖谷 それをがっかりすると澁澤龍彦の読者としては、ちょっとね(笑)。だって澁澤さんの作品はたいてい元の本があるわけですよ。ブルトンからバタイユから、みんな下敷きにしているし、『犬狼都市』のマンディアルグもそう。でもそういうことができる「私」の構造を見ないといけない。たとえば『撲滅の賦』の書き出しなんて石川淳調があるし、埴谷雄高のイメージも使っている。アフォリズムはジャン・コクトーからとっていたり、いわばコラージュみたいにして出来上がっている作品。》

要するに谷川氏が言及している『想像力と驚異』と『胡桃の中の世界』という原著とのタイトルの違いが澁澤龍彦のセンスを示しているのだろう。

澁澤と言えばやはりサドが問題である。

《谷川 やはりサド研究家であり、翻訳家である澁澤龍彦は往々にして、いま忘れられがちなんだけれども、相当大きな意味というかな、出発点の澁澤のね、すれをずっと抱えていたんでしょうね。
巖谷 やはりサドというのは大きかったでしょうね。澁澤さんの卒業論文は『サドの現代性』という題名の、まあ、かなり即席の論文で、シュルレアリストの文章を引用したりして、引用を引用と断らずに書くようなところもすでにあるわけです(笑)。そのサド論はあのサドを文学史的に位置づけるというだけではなくて、いまサドが生きているという捉え方をするのね。『サド復活』もそうで、現代の作家としてサドを復活させ、現代人としてサドを自分の問題に取り込んでいる。澁澤さんの好む対象は殆どの場合自分に似ているから、鏡のなかを見て書いているようなところがある。その鏡の奥にいる一番大きなものがサドだったんじゃないか。》

さすが巖谷氏の考察は鋭い。『週刊読書人』は一九五八年五月創刊。現在も継続発行中である。日本の古本屋にも数えるほどしか出ていないが、特集によってそれなりの古書価が付いているようだ。おろそかにはできない。


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by sumus2013 | 2015-05-11 20:44 | 古書日録 | Comments(0)
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