林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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野呂邦暢古本屋写真集

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『野呂邦暢 古本屋写真集』(盛林堂書房、二〇一五年四月四日、デザイン=小山力也)届く。どうです、この表紙、素晴らしい。

『野呂邦暢古本屋写真展&ミニ古本市』!

いよいよ『野呂邦暢古本屋写真集』見本が

2/27「野呂邦暢古本屋写真集」編集制作中!

巻頭に「澄んだ日」という野呂邦暢のエッセイが置かれている。これが古本好きにはたまらない文章だ。

《それでも月に二回の休日にはせっせと早稲田界隈や中央線沿線の古本屋街をまわった。漁るのはおもに十円か二十円均一の箱である。文學界や新潮のバックナンバー、文庫本などが買えた。コーヒー一杯三十円であったと思う。》

《ある日曜日、私は中央線沿線の古本屋を東から西へ順に漁った。神保町の"らんぶる"で半日すごした後はたいてい軒なみに古本屋を訪れるのが日課だった。高円寺駅のすぐ近くにあるTという古本屋で、均一本の箱をかきまわしていると、一冊の本が目にとまった。新潮社の一時間双書である。朱色のジャケットをかけられたそれは、カミュのエッセイ集「結婚」だったと思う。書名を正確に記憶していないが、小説でなかったことは確かだ。なぜ心もとないかといえば、私はその書物を買わなかったからである。扉の裏に二行のエピグラフが引用してあった。ヘルダーリンの詩である。
 ーーしかし汝、汝は生れた
   澄んだ日の光のためにーー
 私はこの二行を頭に刻みこんでそっとページを閉じ、本を箱に戻した。》

古本屋巡りでときおり経験するような印象的なシーンである。《Tという古本屋》は都丸書店だろうか? ただしカミュ結婚のエピグラフはヘルダーリンの詩ではない。スタンダール『イタリア紀行 Chroniques italiennes』から「死刑執行人はキャラファ枢機卿の首を絞めた云々」(「パリアーノ侯爵夫人」より)である。というかそもそも「一時間双書」というものが存在しない。「一時間文庫」である。そして「一時間文庫」に入っているカミュは『夏』(一九五五年)。『夏』にはヘルダーリンのエピグラフがある(書影はネット上から拾ったものでエピグラフは確かめてないですが)。

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それはさておいて、この本に収められている古本屋の写真は一九七六年前後に野呂邦暢が撮影したものだそうだ。ということは小生が生まれて初めて神田や中央線沿線の古本屋を訪ねた時期に非常に近い。文庫川村のこの平台、はっきり記憶している。なんとも、かんとも、懐かしい光が射してくる。

《通りの途中にある「文庫川村」は、写真の中と寸分変らぬ姿で、営業している。ただ新しかった木戸枠や木製平台は、四十年の歳月を、その体にしっかりと刻み込み、黒ずんでいた。》(小山力也「野呂邦暢の視線を追跡して」)

今も変わってないのか……そう言えば神田もしばらく御無沙汰している。

「あとがき」は岡崎武志。そもそもこれらの写真を遺族から託されたのが岡崎氏だった。みすず書房刊『夕暮の緑の光』の編者を務めたことから菖蒲忌に招かれ、そこで野呂の実兄納所祥明さんから古本屋写真を見せられたという。岡崎氏は《わあ! と声を挙げて、私の目と手がそこに吸い寄せられたのは当然のことである》と書いている。後日、納所さんから古本屋写真が幾束か送られて来た。それらが五年の歳月を経て本写真集へと結実した。古本者の心が通う……まさにそういうことであろう。



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by sumus2013 | 2015-04-10 20:46 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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