林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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さまよえる古本屋

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須賀章雅『さまよえる古本屋もしくは古本屋症候群』(燃焼社、二〇一五年四月二五日)読了。《主にこの十年ほどの間に書いたさまざまな文章を集めて、二冊目となる本を編んでみました》(あとがき)とある通り、エッセイあり、日記あり、創作あり、マンガありと楽しめる内容だ。須賀氏は一九五七年北海道伊達市生まれ。中央大学文学部中退。八六年札幌にて古書須賀屋開店。九七年より通販専門に。二〇〇四年『彷書月刊』第四回古本小説大賞受賞。一二年『貧乏暇あり』(論創社)刊。

須雅屋の古本暗黒世界

《はるか昔、室蘭の高校生だった頃から、昭和の終盤に店を開き、その後、通販専門となって馬齢を重ね、平成の今日まで生き延びてきたある古本屋が見聞きした事柄や、すれ違った本、出会った人たち、そしてとりわけ凡夫自身の姿が、飛び飛びに描かれているのでは、と思います。》(あとがき)

冒頭に置かれている「古本屋症候群」が『北海道新聞』連載というだけあってよくまとまっており、つい引き込まれる。出久根達郎さんにもらった色紙(漱石を売る生業ぞ根深汁)を金策に困って売る話。目録に載せた田中英光の珍しい本に注文をくれる男(払いが遅い)が西村賢太だったこと。帯広の藤丸デパートの地下で福永武彦の第一詩集『ある青春』を捜す話。なないろ文庫ふしぎ堂・田村芳治さんのこと。寺山修司とフォークナーの贋サイン本。寺山は弟子に署名を書かせていたらしい(この話には納得)。ボードレールを買いに来てくれていた顧客が老齢でコレクションを手放した話。安部公房の『無名詩集』と『箱男』の真似をしようとして手を切った話。ジャズ喫茶〈ディディ Dee Dee)と『清水昶詩集』。高校の先輩である八木義徳について。

「ある翁のこと」は小林多喜二と交流していたという老人から蔵書を処分したいと電話がかかってくる話。

《結局、ある先輩古書店とノリ(共同)で老人の本を買い取り、古書業者のセリに出す仕儀となった。いったんセリに出品して売上は折半、自店向きの本があれば自分で入札して買うという方法だ。本を橇に載せて、雪の積もった狭い道を老人宅からトラックまで何十回と運ぶのは骨だった。
 落札した本を店で値付けする段になって愕然とした。開けど開けど、すべての本に赤線、黒線がこれでもかと引いてある。査定の折に手にした物には問題はなかった筈なのに、なぜか、ほとんど全部の本に筆圧強く線引きが入っていた。老人は古本屋にとって、あまりに勉強熱心な読書家であったのだ。》

本を橇に載せて》にはなるほどと頷いた。線引きや書き入れについては関西のある古本屋さんからも同じような話を聞いたことがある。その人はむろん買い取る前に気付いたわけだが、いい本があるのに惜しいと残念がっていた。

第四章「店を開いてから」に収められている「魔の永久運動 『彩色ある夢』をめぐって」は不思議な本との巡り合わせ。友人YからYが必死に探し求める石野重道『彩色ある夢』の探求を依頼された。

《Yの手前、送られて来る古書目録に目を通し、一応探すフリをしてはいたが、札幌ではムリと端から決めていた。
 ある正月のこと、雪の舞う中、Yを誘って知人の家へ遊びに行き、飲んでいた。しばらくしてもう一人、玄関でコートの雪を払いつつ、スーツケース片手にぬうっと客が入って来た。とりとめのない書物談義が続き、酔眼朦朧となった宴たけなわの頃、「二十年前に東京で」とスーツケースからその客が、ひょいと一冊取り出してみせた。摩訶不思議。装丁・稲垣足穂、序文・佐藤春夫、四六判のカバーも箱もないその本こそ『彩色ある夢』にちがいなかった。

こういうこと、あるんだねえ……。

岡崎武志氏に中村正常を出し抜かれた(というわけでもないか)話や、本を買い過ぎてつぶれた古本屋はないという先輩書林さんも登場。古本好きをクスと笑わせてくれる一冊である。

そうそう、須賀屋開店の写真が掲載されているのを見て思い出した。須賀屋さんのレッテルを持っている。おしゃれな、暗黒世界からはほど遠いデザインなのに意外な感を受ける。

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by sumus2013 | 2015-04-10 17:14 | おすすめ本棚 | Comments(2)
Commented at 2015-04-10 20:21 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sumus2013 at 2015-04-10 21:29
小説もよかったです。
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