林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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江藤淳と大江健三郎

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昨日はナベ展会場に遅くまでいたので少々疲れ、本日もまた昼間は会場に詰めていた。ということでブログも滞ったわけです。市中の櫻は三分ほども咲いていたように思った。

最近読了した小谷野敦『江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学』(筑摩書房、二〇一五年二月二五日、装幀=神田昇和)。神田昇和による文字だけのカバーがスッキリとしていい感じ。チェーンのような模様のある用紙(GAえんぶ)が本書の内容とうまく呼応しているようでもある。

小谷野氏らしく江藤・大江を軸とした戦後文学の状況をバッサバッサ切り分けており、とくに人間関係の方面において面白く読んだ。伊丹十三と大江健三郎の関係などきわめて興味深い。

その文壇人間関係でひとつ気付いたこと。著者が《江藤はなぜそう川端を嫌ったのか》といぶかっているところ。その答えは本書のなかにある。《江藤は古風な遊蕩的な文士、中でも舟橋聖一にあこがれていたのであろう》と小谷野氏は書いておられるが、舟橋聖一は川端を強烈にライバル視していたということをたしか雑誌『風景』の舟橋追悼の文章か座談か何か(?)で読んだ記憶がある。舟橋が好き(単純に好きだけだったのかどうかは分らないが、舟橋側にいる)ということは必然的に川端を遠ざけなければならない、ということになるのだろう。

本書はおおよそ、江藤に対しては厳しい指摘がつづき、大江については辛口ながら最大限の賞讃がなされている。二人を並べて評伝としたところに小谷野氏の深い意図があるだろう。

***

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『大和通信』が第百号を迎えた。巻頭は記念号にふさわしく山田稔「老いた閑人」。昔の教え子から頻繁に葉書が届く。それがほとんど読書感想文。初めは返事を出していたが、だんだん相手ができなくなる。と、しばらく前に関心のひかれることが書いてあった。

 《最近Y君は、電子書籍というものの「思わぬメリット」を知った、というのである。これのおかげで小熊秀雄や小出楢重、加能作次郎といった「ひそやかな人の小品」が読める。それで加能の「早稲田神楽坂」というのを読んだが、その近くに、自分の父がその数年後に学生として通ったはずの当時の東京物理学校があり、不思議な親近感をおぼえた。ーいい話である。
 「それはそれとして」と彼はつづける。「画面に写し出される文字を読み取っているという、この読書(?)の、空をかいているような落ち着かなさは何なんでしょうか」と。
 そこで私も少し考えこむ。電子書籍なるもので読む加能作次郎でも、あの「すがれた」味わいは伝わるのか。「空をかいているような落ち着かなさ」にもY君はすぐに慣れてしまうのか。

小熊秀雄と小出楢重は岩波文庫、加能作次郎は講談社文芸文庫に入っている作家である。電子書籍の効用を認めるにやぶさかではないが、電子書籍で初めて知るというのも正直寂しいような気もする。もちろんそれで読めるのだから喜ぶべき事だろう。

善し悪しの判断は措いて、こういう新旧交替に対するジレンマのような反応は、写本や木版刷り和本から活版印刷・洋本へと変っていった時代にもあったのではないだろうか。活版印刷の洋本なんか本と呼べるか、みたいなことを誰かが書いていたのを読んだことがある。時代の流れとはいつもそういうものだ。そのうち電子書籍なんて言葉も過去のものになる時代が来る。

富士正晴記念館では「サッちゃんと阪田寛夫と富士正晴と」展 IIが四月一日より始まるとのこと。

「サッちゃんの阪田寛夫と富士正晴と」展1

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by sumus2013 | 2015-03-29 20:03 | おすすめ本棚 | Comments(2)
Commented by arz2bee at 2015-03-30 08:59 x
文画な日々は気持ちと言うだけでなく、文力も拮抗されているのですね。小佐野敦氏の深い意図と書かれてるのを読んでびっくりしました。
Commented by sumus2013 at 2015-03-30 21:41
案外、単純な意図かもしれませんが…
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