林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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緋色について

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柏倉先生よりユリイカ連載マラルメ新訳の第二回を頂戴した。深謝いたします。ちょうどいただいたときに右京中央図書館へ出かける用事があったため、本誌の表紙だけを撮影してきた。羽良多平吉の手に掛かると高倉健もちょいと雰囲気が違って見える。

今回は「窓 他七篇」。原典の配列がそうなっているわけだが、色彩がとくに意識された作品群のように思った。青空・青(Azur)に加えてブルー(bleu)や青白い(pâle)という単語によって全体を覆うようなトーンが作られ、そこへ金色(or)、白(blanc)、黄褐色(fauve)、血の赤が振り撒かれるという、ギュスターヴ・モローのようでもありホイッスラーのようにも思える絵作りである。

きわめて読み取り難いけれども、マラルメのイメージの源はきちんと筋が通っている。それらの詩句がなんと見事に解きほぐされた日本語に置き換えられていることか。小生ごときが「さすがだ」という感想をもらすのはなんともおこがましいが、それでもやはりさすがである。

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書き入れが汚くて申し訳ない。ひとつだけ、誤訳というのではなく、辞書にも「緋色」としてあったりするので、これは一般認識における誤解ではないかと思うのだが「緋色」は「紫色」ではない。原文で用いられている「pourpre」は次のような色味である(マラルメがどういう色を想定していたかが本当は問題なのだが、ここでは問いようがないので留保しておく)。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Pourpre

この仏ウィキの記述でカラーチャートの中央に位置づけられている「pourpre」は日本人が見てもごく普通に「紫」であろう。では、緋色とはどんな色か? こんな色である。左下の四〇番。上村六郎・小河その『学用色名辞典』(甲鳥書林、一九五一年六月三〇日)より。

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見ての通り、オレンジがかった赤である、というよりオレンジ。この緋色についてはすでに過去ブログにおいて本書から引用しているのでそちらを参照していただこう。

流行色カード
http://sumus.exblog.jp/13324017/

緋色の研究
http://sumus.exblog.jp/13334294/

緋色とは火色の訛かとも言われている。火の色は黄みがかった赤である。ただ前掲書でも言及されているように蘇芳紫の赤(紫がかった深い赤)のような色だと考えられていた時期もあったようだから辞書類がそれを踏襲していればプールプル(紫)を緋色と記述しても不思議ではない。

例えば、寺田寅彦の「旅日記から」に《合歓花のやうな緋色の満開したのや》とあるようだが(『色の手帖』小学館より)、合歓花はおおむね紫がかったピンクである(いろいろ種類はあるかもしれませんが)。これは緋色が誤解されている例になるかもしれない。

話変って小生がある美術研究所に通っていたころ、フランスから帰ったばかりの講師がいた(当時はたしか東京芸大の助手を兼ねていた)。何かと言うとフランス語を使う、ちょっとキザオな先生だった(御本人にしてみれば自然に口をついて出たのでしょうね)。油絵の時間には紫色の使い方にうるさく、ひつこく「プルプル」を連発していた。いつしかその講師は「プルプル先生」と呼ばれるようになった。今は昔のものがたり。



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by sumus2013 | 2015-02-08 20:47 | 古書日録 | Comments(3)
Commented by arz2bee at 2015-02-09 08:59 x
今からでは古びた脳に染みこんで直せないんですよね。どうしてももう少し臙脂に近い色を思ってしまいます。ホームズの緋色の研究からの連想なんですが。
Commented by sumus2013 at 2015-02-09 19:57
文字面と色のイメージがひとつになってますよね。小生もそうです。ただ異見もあるということを頭の片隅に置いていただければ…
Commented by desire_san at 2015-03-06 06:26
こんにちは。
色彩の与えるイメージは面白いですね。ギュスターヴ・モローも好きですが、ホイッスラーはの色彩のグラデュエーションに音楽の響きを感じ、快い安らぎを覚えます。

ホイッスラーの色に関連しても横浜美術館のホイッスラー展で観た作品に、昨年のオルセー美術館展で「灰色と黒のアレンジメント・画家の母の肖像」も含めてホイッスラーの絵画の特徴や魅力を整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見やご感想など何でも結構ですのでコメントいただけると感謝致します。
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