林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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中野智之さん死去

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中野書店の中野智之さんが十二月十七日に亡くなられたという報せが届いた。肺がんのため。享年六十。五月頃までは特に変った様子もないように見えたそうだが、七月にはもう店にも姿を見せなかったという。

アンダーグラウンド・ブックカフェのときには大変お世話になった。中野さんのご自宅は荻窪の北にあり「そらの下」と呼ぶ複合施設だった。「古本倶楽部」と劇場と自宅を兼ね備えていた。中野さん自身、長身でハンサム、とても古本屋のおやじには見えなかったのだが、奥方も美しく気さくで、お二人ともに演劇に情熱を燃やしておられたのが、傍目にも羨ましいくらいだった。

その頃だったろうが、さぼうるという喫茶店で中野さんと、八木福次郎さんもおられ、もう一人長老の方がおられ、業界の話をしていた場に同席したことがあった。たまたま『東京古書組合五十年史』に話が及び、新版を出したらどうかと長老の方がおっしゃって「中野くんあたりが率先してやってくれないかい」と続けたのをよく覚えている。中野さんの人間と能力を信頼しての言葉だと思った。そういう意味では、アンダーグラウンド・ブックカフェの斬新さも含めて、古書業界にとっても損失は小さくないだろう。

中野書店が神田古書センタービルに入ったのが一九七九年。小生は阿佐ヶ谷に住んでいたが、ちょっと敷居が高いように思えて、たしか一度だけしかそこには行ったことがなかった(というか、神保町にはあまり足が向かなかった)。アンダーグラウンド・ブックカフェに付随したいろいろなイヴェントに参加させてもらっていたときが特に親しくさせてもらった頃だった。古本屋になるつもりはなかったと聞いた覚えもある。穏やかな話ぶりのなかにも、辛辣な批評も出たりで、負けず嫌いなところがのぞいていた。そしてその分だけ勉強もしておられるようで、たのもしく思ったものだ。

最近ずっと『日本古書通信』に連載されておられた古書や文書などをちょっと斜めに読み解くエッセイは中野さんのキャリアと勉強ぶり、そのユーモア(多少スベッた感じがいい)のうかがえる好読物だった。連載がなくなったので「あれ?」と思ったのだが、こんな形でその理由を知らされるとは……。

今年は辛い報せが多すぎる。そういう年齢に自らがさしかかったというだけのことに過ぎないのだろうが、それにしても。






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by sumus2013 | 2014-12-22 21:56 | 古書日録 | Comments(4)
Commented by 牛津 at 2014-12-22 22:48 x
絶句です。中野書店が神保町から撤退すると聞き、
皆、本離れがそのようにさせるのかと、ため息を
ついたものですが、このような事情だったのですね。
無念です。
Commented by sumus2013 at 2014-12-23 21:01
本当にショックです。一つ違いなので、常に覚悟しておく必要があるとあらためて思います。
Commented at 2014-12-24 13:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sumus2013 at 2014-12-24 19:57
もう一度お会いしておきたかったです。
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