林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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書を読んで羊を失う

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検印につづいては蔵書印の話。鶴ヶ谷真一『増補書を読んで羊を失う』(平凡社ライブラリー、二〇〇八年七月一〇日)を数ヶ月前に手に入れて読んだ。うかつにもこれまで全く知らなかった著者である。書物エッセイのお手本みたいな佳作が二十八篇。「筆名と異名」「失われた本」「ページのめくり方、東西」「黙読」「本占い」などなど。タイトルは荘子外篇駢拇より

臧與穀,二人相與牧羊,而俱亡其羊。問臧奚事,則挾筴讀書;問穀奚事,則博塞以遊。二人者,事業不同,其於亡羊均也

羊飼いが読書や博打に熱中するのは羊を失う元だと荘子は言う。もっともなり。

本日のお題「蔵書印」というエッセイもある。鴎外の『伊沢蘭軒』で名を知った竹清こと三村清三郎について書かれている。その名を記憶にとどめていると思いがけないところで竹清に出会うようになり、『江戸地名字集覧』『本之話』『近世能書伝』『続蔵書印譜』といった著書が手許に集まってきた。

三村清三郎は明治九年、八丁堀の竹屋の家に生まれた。幼くして両親に別れ、十二歳の春に秋葉の原の竹屋に奉公に出されたが、ひろく書を読み、それぞれの師について学び、また読書家との交遊によって、まれな造詣を身につけるまでになった。三田村鳶魚、林若樹とならんで、江戸通の三大人といわれたこともある。八丁堀で竹清(たけせい)という竹屋を営んでいたので、人に呼ばれるままに、屋号を号として竹清(ちくせい)と称した。書にすぐれ、篆刻をよくし、画に巧みで、いずれも専門家の域に達していた。硬軟とりまぜたさまざまな古書の収集家であり、書誌学に業績を残した江戸の町人学者、狩谷棭斎に私淑した。諸家の蔵書印を集めた蔵書印譜の編者として、これ以上ふさわしい人物はいないだろう。

残念ながら竹清の本も持ち合わせないが、鶴ヶ谷氏も参照している小野秋則『日本の蔵書印』(臨川書店、一九七七年複製版)は昔買い求めて棚の肥やしとなっている。久方ぶりに埃を払ってみた。面白い蔵書印がいろいろと収録されていて見飽きない。

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鶴ヶ谷氏はこの本を紹介しながらこう書いておられる。

《自分の没後、蔵書をどうしてほしいかを子孫に言い残した印には、およそ三つの類型があるという。第一は、子々孫々永く保存すべしというもの。第二は、志を同じくする愛書家に譲りたいと願うもの。第三は、散じるにまかせるというもの。》

第一には柴野栗山の「子孫永保」など。第二は伴信の「身後俟代我珍蔵人伴信友記」や山東京伝の「不期身後京山蔵」など。そして第三は長沢伴雄の「我死ナハウリテ黄金ニカヘナゝムオヤノ物トテ虫尓[ニ]ハマスナ」、村田清風の「長門国三隈荘村田氏文庫章集散任天然永為四海宝」や市野迷庵「子孫換酒亦可」である。

個人的には第三でいいと思うが、それを蔵書印に彫って捺印しておくというのも、いかがなものかと思わないでもない。鶴ヶ谷氏は柴田宵曲についても研究しておられるようなので、いずれ読んでみたい。

蔵書印の印影を集めるというのも魅力的な作業である。竹清は蔵書印を丹念に写して原稿を作り版下彫りに回すのだという。今なら精細にスキャンしてフォトショップで加工するという作業になるのだろうが、これも手始めに手持ちの蔵書から拾い出してそんな本を少部数造ってみるのも面白かろう。といっても珍しい印章が捺されている本などほとんど持ってはいないのではあるが。

保昌正夫「晩年看了」
http://sumus.exblog.jp/10377525/


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by sumus2013 | 2014-12-11 21:05 | 古書日録 | Comments(0)
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