林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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LA PRINCESSE ANGINE

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ローラン・トポール『王女アンジーヌ LA PRINCESSE ANGINE』(BUCHET/CHASTEL, 1967)を読了。六月にサンシュルピスの古本市で求めたうちの一冊。

PANIC BY TOPOR

TOPOR

トポールらしいというのか不条理なおとぎばなし(あ、おとぎばなしは元から不条理だった)。アリスとユビュ王と星の王子様などをつい連想してしまうものの、いずれとも似ても似つかぬ、やりきれない感じ(その点では『ユビュ王』にもっとも近い)は幾分かは六〇年代後半という時代の投影でもあろうか。

王女アンジーヌは十歳ほどの美少女。飲んだくれのヴィタミン公爵とともに象の恰好をしたキャンピング・トラックに乗って逃亡している。ジョナタンという若い男がその仲間へ加わってハチャメチャな道中が始まる、というか続いて行く。象車には王家の宝物を積み込んでいるはずなのだが、それがどこにあるのか分らない。宝物を狙う魔女や髭の兄弟たち。ラストシーンはちょっと納得できないが(トポールの小説の結末はどれとして理性的に納得できるものではないにしても)、たぶんアンジーヌこそが宝だったと言いたいのだろうか(?)。とにかく逃亡がテーマである。トポールの少年時代のオブセッションだ。

ファンタスティックというか珍妙なデッサンが二十六点添えられている。

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そしてアンジーヌがタイプライターで描いた絵(un tableau)がこちら。

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上から順番に空、海、波、泡、砂という単語が並んでいる。コンクリート・ポエトリーみたいなもの(じゃないか?)。この紙切れを見せられたジョナタンは感嘆する。それに対するアンジーヌの答がなんとも皮肉。

ーーすごいじゃないか、君にこんな才能があるとは知らなかった。
 ーー私はね、王様の友達だった美術評論家のせいで絵筆を捨てたのよ。あの人は教養があって、誠実だったわ。でもね、絵描きたちが彼に示す無関心に苦しんでいたの。誰も彼のことを真面目に取らなかったのよ。誰一人彼の記事を読まなかったし、オープニング・パーテイにも招待しなかったの。そして最後通告とも言えるあるマニフェストを計画したのよ。ガゼット紙の発売された日、その評論家は自分の書いた記事について意見を聞くため画家たちのアトリエを次々に巡ったの。なんてこと! 誰もそれを読んでなかったし、読みたくもなかったのよ。酷い運命のいたずらね、信じられる、一人として彼についての意見を変えることはなかったの。ほんの少しでも意見が変るのを絵描きたちはとても気にしていたわね。絶望した批評家はローラー車を運転して逃げ出しちゃった。こう叫んでた、「アンチ彫刻を作るぞ〜」って。
 ーー話がよく分らないけど、なにか教訓があるのかい?
 ーーいくつかね。教訓(モラル)って、単数形では、けっきょく不道徳(イモラル、猥褻)なものよ。
 ーーそれはともかく、彼は君に文学を残してくれたんだね!
 ーーええ、まあ…》(拙訳)

この諧謔、よほどトポールも評論家には苦しめられたに違いない。



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by sumus2013 | 2014-11-27 21:29 | 古書日録 | Comments(0)
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