林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ロードス通信

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郷里の書庫には古書目録の詰まった段ボール箱がたくさんあった。よほどの古本者でも目録まで保存する人はそうはいないと思うが(もちろんスペースの問題)、こちらは本は処分しても目録はとっておこうかと思ったりしている。と言っても、小生がもらう目録などたかが知れている。それでも二十箱くらいはあったかもしれないが、なんでもかんでも放り込んであったので、今回少しだけ仕分けした。関東と関西で大別し、あるものは店ごとに分け、合同目録などは判型でトリアージュした。

そのなかから九月に亡くなられたロードス書房さんの目録をひとまとめにして京都に持ち帰った。店主は大安榮晃(おおやすしげみつ)。名前の読み方が難しい。知り合ったのはサンパル古書のまちがオープンしたときだから一九八六年か…。すぐに親しくなって、大安さんの郷里丹波篠山へ大安さんが帰郷するたびにその車に同乗して通っていた時期があった。篠山の風景を描いて欲しいと依頼されたのである。神戸から一時間以上かかったと思う。二回や三回ではなかった。初めは塾をやり、さらにそこで古書店を開いたという実家にも行ったし(お母さんが素晴らしい方だった)、奥さん(やはり篠山出身、初対面のときには女優のような美形にびっくりした)の実家に泊めてもらったこともある。そんなある日、大安さんがガソリンスタンドで支払いのためにカードを機械に通した。するとこの名前がカタカナでピッと表示された。「ああ、そういうふうに読むんだ」と初めて知った。知り合ってから何年も経っていたと思う。

名前と言えばロードスという店名。これはイソップ物語の「旅をした者の自慢の話」(『通俗伊蘇普物語』渡部温訳、東洋文庫による)が出典であるとこれは直接大安さんから聞いた。ロードス島(渡辺訳ではロデス島)で大跳躍をしたとホラを吹いた男が、今、ここがロードスだと思って跳んでみろと言われてへこまされる話。ちょっと(かなり?)屈折していた大安さんらしい正義感というかこだわりがうかがえるように思う。

ロードス通信、実は揃っていない。探し方が不十分だったのだろう。もらうのは第一号からもらっているはずだ。四号(一九九五年一一月)から三十七号(二〇一四年五月)まで二十四冊しか見当たらなかった。四号は阪神淡路大震災直後の一九九五年十一月発行。そうか、地震のときに処分してしまった書籍類のなかに一号から三号までが含まれていたのかもしれない。これは残念だ。四号には地震および地震後のことが表紙裏に一頁ほど綴られていて、大安さんらしい筆致が痛快。初期の目録には贅言はほとんど見られないが、手許にあるなかでは十二号から「ご挨拶」が少しずつ長くなって一頁エッセイとして毎号掲載されるようになっている。そのなかなか辛辣な(独特なヒューモアのあると表現すべきか)語り口調を参考までに少しだけ引用してみよう。

《マスコミやネットブログ上では古本屋ネタが大はやりで、この事自体はいよいよ絶滅危惧種の希少種としてもてはやされているのだなと妙な納得の仕方をしています。かつては黒木書店や笹野書店やあづま書房のような、一見の客にはとっつきの悪そうな店が俎上にあげられたものですが、今は何といっても癒しの巨匠、街の草、口笛文庫がモテモテであります。口笛文庫はまだ若く、新婚で、店舗のつくりも周辺還境も神戸の街の本屋さん風で、イイ感じというのはよくわかりますが、街の草ときたら、周辺還境は目を覆いたくなるような崩れた商店街の迷路のような位置にあるし、本人はおしゃれではなく、丸々自然に破れたジーパンを年中身につけているし、これで来客のお客さんが結構癒されているなら、なかなかテクニシャンだなと思っています。癒し系なら、塚口・山口書店、大庄町・高井書店、武庫之荘・みょうが堂、長田・アンデパンダン等、豊富だったのですが、現在全て固有の店舗がありません。寂しい限りです。》(十九号、二〇〇五年一二月)

また、二十一号では皓露書林、三十二号では宇仁菅書店、三十四号では板東古書店についての追悼文を書いている。いずれも読み応えのある貴重な古本屋の記録だ。そういう忘れ去られるであろう人たちを(古書目録に取り上げる資料類においても)拾い上げて留めておこうと務めた大安さんの生き方がそのままロードス書房通信に息づいている。ロードス(自分の居る場所)で跳躍してみせた、名前に恥じない目録である。

***

先日、少し触れた古書いとうの伊藤昭久氏が亡くなられたのは七月十七日だそうだ。享年七十二。第37回『本の散歩展』(二〇一四年一〇月)の目録に古書りぶる・りべろの川口秀彦氏が「嗚呼!! いとうさん」という追悼文を発表しておられる。某氏より頂戴した(五反田の目録はほとんどもらっていない、ときおり月の輪さんが送ってくれる程度)。伊藤氏は山梨シルクセンター(サンリオの前身)で出版に関わっておられ、古書店主となってからも文学への情熱を持ち続けられたという。著書に『チリ交列伝』(論創社、ちくま文庫)。


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by sumus2013 | 2014-11-10 21:07 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by 牛津 at 2014-11-10 22:30 x
坂東さんが亡くなり、愛情がこもった文章をものされて、店舗も湊川神社の近くに移動されて、また新境地を拓かれると期待していたのですが、無念です。頑固な古書店主がまたひとりいなくなりました。
Commented by sumus2013 at 2014-11-11 11:22
早すぎます。将棋好きだったので、ゆっくり指してみたかったです。
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