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さらば、松本八郎さん*** 一九九八年の七月、松本さんが須川バインダリーを訪ねたときにご一緒させてもらった。このとき、扉野良人氏が見つけた(たしか二百円で)加能作次郎の稀覯本『處女時代』を松本さんに自分が見つけたような顔をして渡し、大いに喜んでもらったのが忘れられない。EDIアルヒーフの「大田英茂」をもらったが、亀山巌が欲しかったんですけど…ともらしたら、後日すぐに送ってくれた。そのとき挟まれていた礼状。 一九九九年六月の日記を引用する。このとき小生は銀座の空想ガレリアで個展をさせてもらっていた。洲之内徹の現代画廊にいた肥後静江さんの画廊である。六月一日。 《松本八郎さん来廊。保昌正夫さんの「滝井孝作抄」というEDIの新刊と、ムサビ時代の同級生(?)の方の作品集をいただく。いずれもピシッとした装本になっている。兵庫県の製本師の人にたのんでいて、東京ではもうできないし、できても高くつくとのこと。こんど文芸文庫にも入らないような作家の作品を集めて叢書化するという企画を進行中で、まず加能作次郎集(保昌さん解説)を出す、他に紅野敏郎氏の編も考えており、ついてはもっと若い人にも編、年譜、解説をと思っているが、文学研究者は読んでもちっとも面白くない、AREの3K特集みたいなのがいい、という話になって、林さんの方で、どなたかやってもらえませんかと来た。それなら今度sumusを創刊しますから、そのグループで相談してやってみましょうということになる。滞在中、一度、面影橋のEDI事務所をたずねてみることにする。》 そして六月八日の午前中にEDI事務所を訪ねた。豪華なのにビックリ。 《[地下鉄]早稲田で下車、穴八幡のところで岡崎さんを待つ。10:00合流。面影橋のパストラルハイムへ。10分少々の歩き。豪華マンション、段々畑式にすその方が平たくつくってある。601のEDIへ。松本八郎氏の事務所。出版物「結城信一と清宮質文」他いくつかいただく。DOVES PRESS のFAUST(並装、ベラム)とPRADISE LOST(生田耕作氏旧蔵)を見せてもらう。新しい叢書の企画書コピーもらう。リリオムのコピーさしあげる。日本全国の国鉄の駅について調べ上げた2巻本(JTB)を見せてもらう。庄司浅水さんと親しかったことをうかがう。11:30ころ退出。岡崎氏は早稲田古本街をまわるというので別れて銀座へ。》 *** 二〇〇〇年の四月には梅田でお会いした。四月二三日の日記を引用する。『sumus』第三号から松本さんは同人となる。 《15:48分の電車で梅田へ。梁山泊の100円均一でいくつか掘り出す。17:20ころ、加藤京文堂の前で松本さんと会う。しばらくして戸田勝久氏、小野氏と合流。阪急17番街のビル5Fにあるギャラリーアクシズへ。戸田さん、以前個展したことがあり、加藤京文堂の息子さん加藤雄三氏の経営で、紹介される。そこの画廊の女性に教えてもらったイタリアンレストランへ。日ようなのでほとんど閉っていたが、ここだけ開いて、3000円のコースとグラスワインを注文。松本氏には柳原氏の本を差し上げる。松本氏三人に浦安の海苔持参。戸田氏はウィーンの古本屋で買ったジャムの絵本、空中線書局のパンフレット、など出す。さまざまな本の話、印刷の話、小野氏はプラトン社についていろいろ。デザートはなかったので、場所を近くの喫茶店へ移して1時間ほど。エリック・ギルの話題など。凸版印刷の博物館に松本氏はかかわっているそうだ。21:30ころに解散する。》 ああ、この日のことはよく覚えている。阪急梅田駅のエスカレータを降りたところの飲食街の情景がみょうに暗く侘しかった印象だった。なるほど、それは日曜で休んでいた店が多かったせいだったのだ。よくも本の話ばかりを何時間も続けられたものだが、それでもまだ話足りないような気持ちのたかぶりがあった。松本さんの書物と文学への情熱はとにかく熱かった。
by sumus2013
| 2014-09-23 22:10
| 古書日録
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Comments(8)
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at 2014-09-22 19:13
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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sumus2013 at 2014-09-22 19:37
そういっていただけるとスムースに加わっていただいた甲斐があります。いつも楽しそうに本のことを語っている姿しか思い出せません。
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Kat
at 2014-09-23 14:58
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林さん、松本さんと梅田のワイン屋で話した夜を思いだしました。
プライベートプレスの活字フォントを熱く語っておられた姿が浮かびます。
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sumus2013 at 2014-09-23 20:57
そうでした、よく覚えております。その日の日記の記述を引用しておきます。
ああ、そうだっだなと、詳細な林さんの記述で、あれこれ思い出されます。生き残った者が置いてけぼりを食ったような気分になるのは、歳のせいでしょうか。なれば、われわれ、じたばたしながら、生きていくしかありません。松本さんは、じつに気持ちのいい人でした。
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sumus2013 at 2014-09-23 22:43
まったく同感です。お互いしぶとくいきましょう。
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at 2014-10-13 18:01
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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sumus2013 at 2014-10-13 19:44
こちらこそ御無沙汰いたしております。もちろんリンクしてくださって結構です。いずれまたもう一仕事されるときがきっと来ると思っていたのですが…無念です。
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