林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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古本屋創刊号

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ヨゾラ舎さんに「『ちくま』の連載は本にならないんですか?」と尋ねられた。「ならないんです」と即答(筑摩書房さんにはきっぱり断られました)。

林「今はもう古本の本はどこも出してくれないですよ」
ヨ「でも、古本屋の本は出てますよね」
林「古本屋の本、そんなに出てますか?」
ヨ「『那覇の市場で古本屋』(ボーダーインク、二〇一三年)とか、ほら『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』(本の雑誌社、二〇一三年)だとか」
林「そうか、そうですね、『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』(洋泉社、二〇一二年)もありました。内堀さんの『古本の時間』(晶文社、二〇一三年)も」
ヨ「最近『荒野の古本屋』(晶文社、二〇一四年)というのも出たそうですよ」
林「へえ、知らなかったなあ」

『荒野の古本屋』は森岡書店主の著書で晶文社の「就職しないで生きるには」シリーズの21だ。晶文社いいところ狙って復活している。

とそんな話をして、ヨゾラ舎さんの棚から求めたのがこの『古本屋』創刊号(青木書店、一九八六年一月)。冒頭「発刊のことば」にこう書かれている。

《評論家、研究者、好事家主導の「古本雑誌」で古本屋不在は当分続くものと思われる。
 何故、古本屋は沈黙を守っているのだろうか。しょせん小売業者の客に対する配慮なのか、又は外部の人々の一知半解を黙殺しているのか、或は業者の不勉強と怠慢がなせるわざなのか。》

《今、「古本屋」を発刊する心情には、屋上屋を架し、業者の独善を示す意は毛頭なく、古本屋を含めたあらゆる人々に、因襲を温故に、改革を知新と意図して投じた一石に外ならない。》

と少々悲壮な決意が語られているのが今となっては意外なくらいである。『古本屋』創刊号からおよそ二十年後、二〇〇五年には「古本屋の書いた本」と題した展覧会が東京古書会館二階で開催され目録も作られている。きっとこの間に大きく時代は変わったのだろう。

それはそうと、この表紙には献呈の署名がある(たぶん筆ペン)。

《今木敏次様 蒐文洞生》

蒐文洞は尾上蒐文洞である。この情熱的な人物については青木氏の著書『古本屋奇人伝』にかなり詳しく語られている。

青木正美『古本屋奇人伝』
http://sumus.exblog.jp/18314876/

今木敏次が誰なのかとっさに思いつかなかった。検索してみると古書さろん天地の主人で『紙魚放光 尾上蒐文洞古希記念』(詠品会/南柯書局・製作、一九八一年)にも今木は「経典絵巻考」を寄せている。谷沢永一と親しかったようで谷沢には「交遊、五十五年」という今木追悼文がある。

『古本屋』創刊号に出久根達郎が「目録殺し」という文章を寄稿しているのでざっと目を通した。内容はともかく筆の達者なことはあらためて強調するまでもないが、出久根氏は自ら作っていた長文の解説付きの目録、その失敗についてこのように述べている。

《古本あさりの楽しみは、ひとつに、「自分だけしか知らない」本を掘り出す快感を味わうことである。》

《万人が認めるところの名著に真の名著はない、と断言する時点から熱心な古本屋まわりの客となる。こういう客はないものねだりのへそ曲りが多く、だからこそ掘りだしものに血まなこになるわけである。あるじの講釈に釣られて本をあがなうほど自分は藤四郎じゃない、ーーといわば目録の賑やかなお節介が客の自尊心をいたく傷つけたのに違いない。》

《客より優位に立ってはならぬ。少なくとも表向きはそう見せねばならぬ。本の講釈は本来客がすべきなのであって、古本屋が客の位置に坐ってはまずいのである。》

こういう古本者の意識が絶対にないとは言えない。ただ古本屋が客より知識が豊富というのはどうなのか。古書通には恐ろしい人がたくさんいる。そういう客にもまれて古本屋も賢くなるのじゃないのか。ただし最後にこう書かれているのには全面的に同感だ。

《くだくだしい本の説明なぞ、そんなもの一切必要ないのであった。なぜなら、一等最後に記した、その本の「売価」こそが、その本の「解説」なのであるから。「売価」こそはあるじの知識の結晶であり、あるじの思想の吐露なのである。》

むろん、昨今の次々出ている古本屋の本はそんな古本ウンチクや熱い競争意識とはあまり関わりのないものかもしれない。もっと身近な等身大の内容になっているような気がする。善くも悪くも。




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by sumus2013 | 2014-08-31 20:32 | 古書日録 | Comments(0)
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