林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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膝で歩く

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季村敏夫『膝で歩く』(書肆山田、二〇一四年八月八日、装幀=間村俊一、写真=鬼海弘雄)。栞として挟み込まれている「往復書簡 赤坂憲雄/季村敏夫」に季村さんはこう書いている。

《さて昨年八月の福島の駅前通り、赤坂さんたちが企画しておられる市民によるミュージアム構想(このように受けとめて出掛けました)の会合でのこと。自己紹介でわたしは、突如家内を襲う病という事態を日本の病巣である福島原発事故に重ねて思考したいと語りました。いかにも唐突なものいいでしたが、ハラワタをねじりあげた積もりです。
 二足歩行の発想を変える、生きてきた軌跡がうち砕かれ、瓦礫に放り出されたわたしの出発点です。関西と東北を襲ったカタストロフィー。日本人の生き方は根底から変るだろう、そういわれたが現状はどうか。「膝で歩く」は、病で一変した生活をひき受け、何とか立ちあがろうとする息の様態でもありますが、山は峻険、谷は予想以上に深く、今後も試練の連なりだと覚悟します。病妻ものをしたためたかつての私小説家をおもうと、やさしさとは何かが真っ先に問われ、隠されている酷薄さに滅入りますが、もはやきれい事ではすまない。「膝で歩く」思考をたどり、歩行に関する自明性を疑い、わたしの片すみから目覚めたく存じます。》

小生、現存の詩人としてはもっとも多く季村さんの詩を読んでいる……に違いない。というのも上梓するたびに詩集を送ってくださるし、また精力的に作品集を刊行されておられるからだ。

季村敏夫『日々の、すみか』

季村敏夫『災厄と身体 破局と破局のあいだから』

季村敏夫『豆手帖から』

新しい詩集を頂戴する。『豆手帖から』

季村敏夫『ノミトビヒヨシマルの独言』

季村敏夫『ノミトビヒヨシマルの独言』

季村さんの詩集『木端微塵』

これ以外にも『わが標なき北方に』(蜘蛛出版社、一九八一年)と『つむぎ唄泳げ』(砂子屋書房、一九八二年)は古書で求めている(『わが標なき北方に』は扉野氏へ行ったが)。そうそう『spin』08(みずのわ出版、二〇一〇年)は季村敏夫特輯でもあった。

たしか『たまや』の間村さんとの関係で『木端微塵』を頂戴したのが二〇〇四年だから、その頃から徐々に親しくお付き合いさせていただくようになったのだろう。『馬町から』という父上の事蹟をまとめられた著書の装幀をさせてもらったのが二〇〇六年。その少し前に突然電話がかかってきて、いきなり「林さんに本を作ってもらいたいのです」みたいな口調で(これは今もそう変らない、単刀直入な話し振り)用件を告げられ、梅田の阪急ホテルのロビーでお会いしてそこの喫茶室で具体的な内容をうかがった。ホテルで待ち合わせというのが新鮮だったことを思い出す。

具体的な本造りはみずのわ氏に任せることになってその顔合わせをしたのがなぜか中之島で、季村さんと瀧克則さんと四人で喫茶店に入ってあれこれ雑談した(打ち合わせはすぐに済んだ)。瀧さんともこのとき初めて親しく話をさせてもらった(お会いはしていたと思うが)、後に『spin』の宇崎純一特輯に寄稿していただいたり、与謝野晶子記念館でご一緒して宇崎純一のトークショーを行ったりすることになろうとは、当時は思いも寄らなかった。『山上の蜘蛛』と『窓の微風』という大著がみずのわ出版から発行されたのも元をたどればこのときの出会いによるものだ。善きにつけ悪しきにつけ八年ほどの間になんという変りようであろうか。

本詩集もその時間の流れを強く感じさせる。時間や物事の盛衰に抗うことはできないが、詩の言葉としてわずかな抵抗を示すことができるのではないか、そんなふうにこの作品集を通読して思っている。本書より一篇引用させてもらう(全文)。

  

   自転車の息



枯れ葉は動かない
バス停の裏の湿地
行き止まりに沈む数枚


こんな夢の残像をかかえ
めざめる


チャーリキ、チャーリキ
 スチャラカチャン
 切られて切られて
 血がだアらだら*


自転車にまたがり
四方八方の陽を浴び
ゆきづまりを打開しようとした


錆びたダクトから噴出する白煙
自転車[ちゃりんこ]のチリンがすりぬける


だれにも呼ばれない
それでもペダルを踏みこむ


土は冷える
枯葉数枚
空に舞いあがり
車輪の風と衝突


これから弔いだ
だれかに
回転するだれかに呼びかける




戦前の神戸のバラケツ(不良少年)が三ノ宮などの盛り場で
「よう歌(うと)てたんや」、「海がえらい荒れてるなア。今日なんか舟
に乗ったらしごかれるでエ」、島尾敏雄は開高健に語った。
健の耳はこのときも勃起したのであろうか。





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by sumus2013 | 2014-07-26 21:02 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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