林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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著者は誰?

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梅雨? などと書いたところ、その日以後ずっと快晴が続くパリ。最高気温25度前後と快適である。昨年、悪天に悩まされたのが噓のよう。


土曜日。ジョルジュ・ブラッサンス公園の古本市へ。二度目。出店している業者はほぼ同じだが、いくつかの店は入れ替わっており、それらを中心にゆっくり見てまわる。なかに5ユーロ均一の平台があった。じっと見ているとこの小さな本が「買ってちょうだい」と呼びかけるような気がして手に取った。

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表紙はマーブル紙。背のところ、どうやら羊皮紙の手紙か何かを流用したようで、ちょっとシャレた造本になっている。

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ただし扉頁が失われているようだ。こういういった本によくあるように著者の肖像画もあったかもしれないが、それもない。扉がないので著者名が分からない。おそらくそのために均一台に放り込まれたのであろう。紙質や印刷の具合は十八世紀かとも思える風合いを呈している。

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けっこう高飛車な序文(ヴォルテールの名前などが見える)の後に章題があり、「L'HOMME DES CHAMPS OU LES GEORGIQUES FRANCOISE」と書いてあるので帰宅してから検索してみた。

そうするとジャック・ドリル(Jacques Delille 1738-1813)という詩人、翻訳者の著作らしいことが判明した。この本がどういう版かは分からないにしても初版は一八〇〇年に刊行されたものである。ドリルはラテン文学の翻訳者としても知られ、当時としてはフランス随一の詩人だという名声を得ていたらしい。本書のタイトルもウェルギリウスから取られている。今日ではほとんど読まれることはないようだが、もしちゃんとタイトルページもあればそれなりに貴重な版本だと思われる。こういう買物があるのがブラサンス公園の捨てがたい魅力である。

このとき別の店にスケッチブックが並べてあった。何気なく手に取った。すると店主らしい男性が近づいて来て「ジャポネ?」と言う。そのスケッチブックが日本人のものではないか、というのである。そう言われてゆっくりめくってみると、なるほど日本人らしい自画像(?)や裸婦のデッサンが何枚か、フランス人らしい男性や女性の似顔絵などもあった。ただし作者が誰かということについては手がかりがまったくなかったのと、デッサンそのものは素人よりもやや上手かなというくらいのものだったので値段までは尋ねなかった。むろんパリに滞在していた日本人の絵描きなど無数にいたわけだからどうということもないが、名前だけでも分かれば面白い買物だったかもしれない……などと今頃思っている。



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by sumus2013 | 2014-06-24 06:31 | 古書日録 | Comments(0)
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