林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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暗視の中を疾走する朝

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『清水昶詩集 暗視の中を疾走する朝』(築地文庫、二〇一四年五月三〇日)が届いた。清水昶の最初の詩集、私家版、その復刻版である。「栞」に佐々木幹郎氏が刊行の経緯を書いておられる。

《築地文庫の湊準二郎さんの話によると、湊さんが関東学院大学の生協で仕事をしていたとき、同志社大学を卒業したばかりの清水昶が職員として赴任。親しくなって、もはや絶版になっていた『暗視の中を疾走する朝』の謄写版の版下原稿を譲り受けたのだという。それを半世紀近く大切に保管していて、今回の復刻につながったらしい。

原本は「謄写ファックス」、復刻版はリソグラフだが、《限りなく原本そのものに近い感触に仕上がっている。》そうだ。


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  吊した舌に激しい痛み 海草のような神経を
  はいあがり いきなり海 例えば街でも良い
  消えて行く ジャズ 闇の部分にシャム猫の
  眼 少女の唇その光りの流れに 紙飛行機浮[ペーパープレイン]
  び 墜ち行く先は女の嗤い ハッハッジャズ
  ブラックコーヒーに溶けた僕の顔 店内は長
  くて昏く 西陣の家は長くて暗く 汚れた便
  器にあくび吹き込み ジャズジャズ流れちゃ
  うジャズ 失踪した男が聞く朝のジャズ 僕
  かも知れない たしかに僕は 瀑布の飛沫に
  濡れゲラゲラ笑いたかった[以下略]



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『暗視の中を疾走する朝』は、清水昶の「アキラ調」とも呼べる粘りつくような呼吸法と、土俗的な美意識に包まれた言語感覚が誕生する前の、詩の文体がまだ未成立の段階の習作詩集である。しかし、そのことがより一層、一九六〇年代中期の日本の典型的な青春像を浮き彫りにしていて、初々しい魅力を持っている。ジャズと革命と恋と学生運動が一体になっていた時代の匂いを、紫煙のように立ち上らせている。

と佐々木氏が述べておられる通りだと思う。むせかえるくらいだ。自筆手書きの詩がほとんどなのだが、その字体に触れたこういう指摘が注意をひく。

《ちょっと説明しておくと、六〇年安保闘争以降の京都の学生運動の諸党派は、それぞれ大学ごとに、タテカンに文字を書く係の学生を決めていたため、文字を見ればその内容を読まなくてもどこの党派かわかった。また、キャンパスで配られるビラの書体もレイアウトも(当時ビラはすべて謄写版印刷だった)党派ごとに異なっており、その書体は先輩から後輩へ引き継がれ、新左翼運動特有の文字文化が代々続いていたのである。》

なるほど、そういうものか。六〇年安保のビラなんだか面白そうだ。

《京都の学生詩人たちが出す詩誌のほとんどは京都市役所の近くにあった双林プリントで印刷されており、印刷人はそこで働いていた詩人の大野新であった。大野さんは清水昶の兄である詩人の清水哲男と一緒に、同人誌「ノッポとチビ」を刊行していて、京都の学生詩人たちは大野新を畏敬していた。

そして清水昶の第二詩集『長いのど』は文童社から出たそうだ。文童社は言うまでもなく双林プリントで詩集などの出版をするときの社名である。佐々木氏は触れていないが、経営者は山前実治で住所は山前の自宅になっている。

《わたしは「文学研究会」で出していた同人誌「同志社詩人」の印刷と校正のために、大学時代は双林プリントに頻繁に通っていた。大野新さんと親しくなって、「首」や「ノッポとチビ」の例会にも誘われた。その頃の京都には、詩の巨匠として天野忠がいて、異端児の中江俊夫がいた。京都詩壇の黄金期だったように思う。

『暗視の中を疾走する朝』元版は限定三〇部。この復刻版は三〇〇部である。実に丁寧な仕事ぶりだと思う。






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by sumus2013 | 2014-05-24 19:48 | おすすめ本棚 | Comments(6)
Commented by みなみ at 2014-05-24 21:14 x
わあっ、コレ、ほしいっ!

ごぶさたいたしております。
「JAZZ」の書き文字といい、写真といい、レイアウトといい、あの頃の空気が真空パックされているようです。
わたしも同志社大学でしたが、ガリ切りの謄写版にくわえて、どこかの校舎に、タダで使える「青焼きコピー」があったので、同好会の会報に重宝しました。
ただし「青焼きコピー」は乾かすのがひと苦労、しかも1年もすれば、文字は薄れてしまい、ほとんど判読不能でしたが。
週明けにでも、早速問い合わせてみます。教えていただいてありがとうございます。

そうそう、きょうは長岡天満宮に出かけてきました。
みどり文庫さん、木陰で気持ちよさそうにされていましたし、ヨゾラ舎の店番のお嬢さん、とてもキュートな(死語でしょうね)イラストレーターさんでした。
実店舗のヨゾラ舎さんにも、近日中にぜひおじゃまさせていただきます。
Commented by 某氏です。 at 2014-05-25 07:21 x
手元にないので曖昧な記憶ですが
現代詩手帖の「処女詩集特集」(81年10月号?)で
清水昶本人がこの詩集についてコメントしていました。
たしか、下宿の蒲団の下敷きだか押入に押し込んでいて、湿気らせてしまったというような・・・。
山前実治は、倉木麻衣の祖父でしたね。
Commented by sumus2013 at 2014-05-25 08:00
みなみ様 同志社ご出身したか! ならば絶対おすすめです。長岡天神、気持ちいいですよね。昨日は都合で行けませんでしたが、次は是非と思っています。
Commented by sumus2013 at 2014-05-25 08:03
某氏さま 佐々木氏は、当時、清水昶と同宿していたこともある正津勉氏より京都市内の穴蔵のような暗い下宿でこの詩集を見せてもらったそうです。
Commented at 2014-05-25 08:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sumus2013 at 2014-05-25 16:56
いい仕事です!
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