林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ぽかん4号の感想

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『ぽかん』4号(ぽかん編集室二〇一四年四月二一日)読了。本誌の充実ぶりこれはもう理想的な布陣ではないだろうか。と書きつつも、じつは真治さんには書き手を二人か三人減らして一人の分量をもっと増やした方がいい、というような感想をメールした。しかし、今また読み直してみると、これはこれでベストバランスを持った編集振りであり、小沢信男、山田稔、涸沢純平、木村浩之、外村彰、田中美穂、扉野良人、鹿角優邦、内堀弘…の並びのどこをどう削るかなどと考えるのは烏滸のさただと反省した。

  兵児帯もほどけば長し麦の秋   小沢信男

山田さんのエッセイは小沢信男さんの『捨身なひと』に関連して長谷川四郎からもらった葉書を探し出す話。涸沢さんは「わが出版記」や内堀さんの『彷書月刊』の記録も出版史においても大切な文章だ…と内容紹介するより読んでもらった方が早い。個人的には「父のチェーホフ」と題して扉野氏が湯浅芳子について書いているのがいいと思った。この話は直接その一部分を扉野氏の口から聞いたような気もするが、六波羅蜜寺あたりの坂を上がったり降りたりあのへんの露地を右へ曲がったり左折れたりするような書きぶりがひとつの新たな文体を仕上げつつあるような気がする。次号が待ち遠しい。

この雑誌を始めるずっと以前だったが、ちょうちょぼっこで真治さんから雑誌の作り方について問われたことを覚えている。とにかくページ数を増やさないこと。小生からのアドヴァイスはそれだけ。調子づいてくるといろんな人に頼んでしまって収拾がつかなくなる。ページが増えればコストも手間も増えるが、だからといって内容が充実するわけではない。マイペースをつづけるにはページ数制限という足かせを自らに課すべきだと思う。

ところがどうだろう。真治さんの発想はそんな頭の固い、古臭いものではなかった。1号2号はともかく、3号からご覧のような楽しい附録をたくさんつけてしまうという、とんでもない発展ぶりなのである。印刷コストはこちらが心配するほどかかっていないそうだ。子供の頃にとっていた『少年』だとかそういう月刊雑誌の附録が持っていたたまらない魅力を思い出させてくれた。


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「のんしゃらん通信」なんか、これだけで十分独立した冊子として通用するだろう。本誌とはまた違った意味で粒ぞろいの書き手がそろっている。さらに「こないだ」は3号の感想文集、読者カード、そして手作りの検印紙。もう、好きなようにやりなさい、という感じである。


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4号編集中の真治さんからメールをもらった。エッセイの開始ページを偶数に揃えるべきか否かというような問いだった。執筆者それぞれのエッセイの長さによってピッタリ同じように収まらないから、流し込みだとどうしても全員偶数からスタートというわけにはいかなくなる。『spin』では奇数始まりを基本にしていた。けれども成り行きで偶数から始まっても問題ない。そのように答えたと思う。今、本誌を見ると、どうしても揃わないところは一頁まるごと写真で埋めてある。この写真がなかなかいい。

もうひとつ質問があった。エッセイの文末が広く空いたときにはどうしますか? 空いたままは好きじゃないという。だったら埋め草を考えれば。そこが編集者の腕のみせどころだよ。よって今回は「シネマのある風景」(これ山田稔さんの本のタイトル)という囲み記事が三篇挿入された。

ポスター附録「ぼくの百」は福田和美さん。原稿をもらってからコラージュを制作したのだけれど、その本の選択が小生の趣味に近いので驚かされた。だって一回り以上年下なのに…。3号の秋葉氏の選択は、本に精通した若い人のもの、という感じがありありだったが、福田さんのは感覚的に近いものがあったのだ。しかしコラージュそのものはあまり原稿とは関係ないものになってしまった。カフカとかグロッスとか少しは入れるには入れておいたけれども。あとロシア文字は真治さんの指定によります。

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『海鳴り』26号(編集工房ノア、二〇一四年五月一日)が『ぽかん』より数日後に届いた。山田稔さんの「ある〈アンダスン馬鹿〉のこと」は『ぽかん』4号とほとんど同じような展開(昔、縁のあった人の葉書を探し出す)だが、枚数が多いだけに存分に筆を揮った感じがする。じつにいい話だった。








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by sumus2013 | 2014-05-06 21:04 | おすすめ本棚 | Comments(2)
Commented by yf at 2014-05-07 11:47 x
 ぽかん4号の「検印紙」、「aja」と読めますが、どういう意味ですか。大阪弁の「あじゃぁ」でしょうか。これに取ると、昔、一世を風靡した漫才「ダイマル・ラケット」の「あじゃぁ」を思い出しました。
それにしてもこんなしゃれた雑誌を発行する人が「生玉前町」からとは驚きました。
Commented by sumus2013 at 2014-05-07 20:00
「aya」で、真治彩さんの彩でしょう。そうですね、生玉前に引っ越されてからこのスタイルになったような……何か土地の影響があったのでしょうか。
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