林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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うつろ舟

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先日来ブログでも取り上げていたように澁澤龍彦を読み直したいなと思っているのだが、いかんせん本を持っていない。昔はそこそこあったようにも思うが、だんだん処分してしまって、現在は上の写真のように文庫でしかもサド関係だけを残した状態。とりあえずはまず『狐のだんぶくろ』が読みたいと思って「日本の古本屋」で探してみると、ビブリオテカの版が700円で出ていたので注文したところ、品切れですという返事が来た(データ消し忘れ)。無理して買うこともない、いずれ手に入るだろう。

本日、雨。買物のついでに少し足をのばして善行堂へ、久し振り。買い取りがつづいたということで店の中央に古本山脈ができている。腰から胸くらいの高さで奥までずっと平積み。西側のポスターを貼ってあっただけの壁際にも文字通りの山積。古本屋らしくなった。しかし、本がすぐに行方不明になるという。「林さん向きは、これでしょ」とトポールの『Café Panique』(Éditions du Seuil, 1982)を取り出してくれたのは有り難かったが、他に二冊ほどトポールがあって、別置きしておいてくれたというのに、それがどうしても出てこない。天に登ったか(二階も見てくれた)地に潜ったか(足許もずっと点検)「お〜い、出てこ〜い」の声もむなしい。いずれ見つかったら知らせくれるように頼んでおく。


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澁澤龍彦はあるはずだと思って、東側の整頓された本棚を見回す。どうも無いらしい。「シブサワないの?」と尋ねたら「そこにあるやないですか」と。「どこに?」。ちょうど来合わせていたデコさんが隣から指さす、「目の前ですよ、ほほほ」。なんと本当に目の前二十センチのところ澁澤龍彦の本がズラリと並んでいるではないか。この棚の上と下と右と左へ視線を投げていたのに、真ん前が盲点になっていた。

『うつろ舟』(福武書店、一九八六年六月一六日、装丁=菊地信義)は別の所から探し出してくれた(写真では棚に差してあるが、直前までここには『私のプリニウス』青土社、一九九三年、が入っていた)、平積みの底辺にはビブリオテカのシリーズが何冊もある。澁澤訳のシュペルヴィエル『ひとさらい』(大和書房、一九七九年)もいいなと悩んだ末、結局は『うつろ舟』にしておく。



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少しだけ山脈を崩して見ていると、あまりにいい本が多いので恐ろしくなって中止する。トポールと『うつろ舟』だけ清算してもらう。ちょっと値切る。

「新刊やけど、こいうのもあるよ」と善行堂が机のあたりから川崎長太郎の選集を取り出して見せてくれた。平出隆さん(+斎藤秀昭)の編になる「crystal cage 叢書」の一冊『姫の水の記』。TOKYO PUBLISHING HOUSE という版元には聞き覚えがなかったが、出版者は横田茂となっており、横田氏はギャラリストとして知られた方。シュルレアルな装幀に似つかわしいかどうかはさておいてラインナップは渋い。

そんな話をしていると若い男性客が『現代思想』などを五、六冊差し出して清算した。『姫の水の記』に注目しているので手渡して見てもらった。「この人はフランス文学系ですか?」と尋ねられた。「この人」は当然編者である平出隆さんのことかと勝手に思ったが、川崎長太郎のことだったのかもしれない。「え、どうでしたかね、平出さんドイツかなあ」などと善行堂に助け舟を求めるも、善行堂も「どうやったかな…」(今調べると一橋大社会学部卒)。帯の文章は「バシュラールの言葉ですね、ガストン・バシュラール」と言うので、おおこの片言を読んでバシュラールと見分けるとは「おぬし、ただ者ではないな」と思った。善行堂によれば現代思想系の本は需要が高いらしい。そういう人たちは値段のこともとやかく言わずに買ってくれるそうだ。われわれとは違うなと二人で苦笑。

で、今、crystal cage 叢書」のサイトを見ると帯の引用の末尾に「Gaston Bachelard」と明記されているのでありました。そりゃ、フランス語が読めれば分るわな、チャン、チャン。

さっそく表題作「うつろ舟」をかなり久し振りに再読。断片的に記憶に残るイメージもあったが、こんなデタラメなストーリーだったのか! これほど奇天烈なのは、石川淳でもないし、足穂でもない。個人的には織田作之助の「猿飛佐助」くらいじゃないか、匹敵するのは、と思う。赤本漫画の世界のようだ。ひょっとして澁澤の幼少体験に根ざしているのだろうか。年取ると、こういう過去の嗜好が噴出してくることはしばしばある。ただし年取ると言っても澁澤は五十九歳三ヶ月で歿しているから、まだ老人とは呼ぶには早すぎた。


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by sumus2013 | 2014-03-20 20:47 | 古書日録 | Comments(6)
Commented by yf at 2014-03-21 08:34 x
 目の前にあって気がつかないのは、年齢を重ねた証拠す。小生など「ジュンク堂」の堂島店で目の前にありながら、店員さんに聞き、目の前の書棚を指さされた事「再々」あります。以前は聞くのも恥ずかしかったですが、もうこの年になれば、堂々と聞く。
Commented at 2014-03-21 09:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-03-21 10:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sumus2013 at 2014-03-21 11:29
アスタルテ書房さん、再開は不明です。昨日はまだ開いていませんでした。
Commented by sumus2013 at 2014-03-21 11:31
小説と自伝的なものだけにしぼって読み直そうかなと。処分すると読みたくなる、たしかにありますね。
Commented by sumus2013 at 2014-03-21 11:31
yfさま いや、まだモウロクしてません、と言いたいところですが、澁澤が死んだ年齢になってますので……
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