林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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吉本隆明と沖縄

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『脈』79号(脈発行所=那覇市曙3-20-1、二〇一四年二月一〇日)を頂戴した。御礼申し上げます。特集「吉本隆明と沖縄」。この号から比嘉加津夫個人誌『Myaku』と同人誌『脈』というふたつの雑誌が合併したそうだ。後書きにこうあってオヤと思う。

《さて、今回の特集だが、多くの方の協力を得た。まずは三月書房の宍戸さんだ。「吉本隆明と沖縄」をテーマにすべきだと意見したのも彼であった。》

宍戸さんお元気のようで何より。記事のなかでは比嘉氏の論考「吉本隆明にとっての沖縄 南島論と共同幻想論から」が吉本と沖縄の接触を分かり易く説明してくれており参考になった。例えば、沖縄復帰以前の論考「異族の論理」(一九六九年)をめぐって。

《一般の「復帰」派でも、おおまかに言うと、何が何でも復帰という考えと、施政権のみならず基地も返還し平和を取り戻すための復帰という考えに分かれていた。
 同様に「反復帰」派も、復帰したら芋と裸足の時代に戻るだけだから駄目だという考えと、この際だから独立すべきだという考えと、日本帝国主義化の目論見に利用されるだけだという考えに分かれていた。
 そのようなとき、吉本の「異族の論理」が出てきたのである。吉本は次のような見解を述べた。

  わたしたちは、琉球・沖縄の存在理由を、弥生式文化の成立以前の縄文的、あるいはそれ以前の古層をあらゆる意味で保存しているというところにもとめたいとかんがえてきた。そしてこれが可能なことが立証されれば、弥生式文化=稲作農耕社会=その支配者としての天皇(制)勢力=その支配する〈国家〉としての統一部族国家、といって本土の天皇制国家の優位性を誇示するのに役立ってきた連鎖的な等式を、寸断することができるとみなしてきたのである。いうまでもなく、このことは弥生式文化の成立期から古墳時代にかけて、統一的な部族国家を成立させた大和王権を中心とした本土の歴史を、琉球・沖縄の存在の重みによって相対化することを意味する。

要するに沖縄には本土より古い制度が残っている、それを掘り起こし、天皇制の意味を問えということだ(そして天皇制という問題から人類史的な普遍へ至るという道筋を吉本は考えていた)。ちょうどこのくだりを読んだすぐ後で新聞を広げると「沖縄で旧石器時代の貝類 国内初出土」という記事が出ていた。そこには石灰岩質の沖縄地域は酸性土壌の本土に比べて骨の残りがよく、本土にほとんどない旧石器時代の人骨が複数確認されているが、使われたはずの道具が見つからないという不思議な状態が続いていた。今回の発見はそれを埋める成果で云々》ともあって、なるほど文字通り日本最古層をとどめているのが沖縄なのだと思ったしだい。

そしてまた、その次の日だったか、何気もなく『近世名家小品文鈔』中(土屋榮編、大字三版、刊記はないが、検索すると明治十二年のようだ)をめくっていると「蹲鴟子伝 頼山陽」というタイトル、そして出だしの《蹲鴟子者琉球人也。姓甘人名藷。其先人曰芋氏。》が目についた。オヤオヤまたもや沖縄だ。


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蹲鴟子伝というのでてっきり人物伝かと思いきや、書き出しを落ち着いて読み直せば分る通り、琉球特産の蹲鴟(そんし)すなわち里芋(【さといも】「食物本草歳時記」参照)を琉球の傑出した人物として擬人化し、あまりに優秀なため日本本土へ招かれて全国いたるところにその弟子(子芋)をつくった……というふうに語っているのだった。

検索してみると、この本の他に明治二十五、六年頃の中等漢文教科書にも取り上げられており、その教科書で習った人達(ご存命なら百〜百二十歳ほどの方々)にはよく知られていた戯文だったかもしれない。仮に上記引用に出てきた《芋と裸足の時代》が山陽のイメージした琉球にあたるとしても、山陽はこのとのほか蹲鴟を愛したようだ。

《野史氏曰。吾少游六芸之圃。與其秀英之士交。独好蹲鴟子子弟。愛其実而不華。重厚而能済人。交愈熟而其言愈可味吁。蹲鴟子之才。而為人所賤。天也邪。江戸有孔陽氏者。與予同其好。来請予曰。掲埋彰没。史家之事也。予蓋記蹲鴟子之事。規世之耳食者。予於是乎。作蹲鴟子伝。

愛其実而不華」と言っているが、カラーに似た花もなかなか美麗である。
http://senpai3330.blog41.fc2.com/blog-entry-1206.html

『脈』次号は川崎彰彦特集とか。これは楽しみだ。


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by sumus2013 | 2014-02-18 21:03 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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