林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ささありき

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いつも珍資料を恵投くださる某氏より、先日も不思議な本が届いた。『ささありき 池袋西口の十九年』(「ささありき」刊行会、一九八四年八月三〇日)。カウンター八席ばかりの小さな飲屋「ささ」が立ち退きのため閉店することになり出版やマスコミ関係のひいきが多かったため、有志の努力でこの本が出来たということらしい。先日紹介した『大坊珈琲店』と同じように、多数の常連客、および主人の回想から成っている。

店は池袋駅西側、北口から北へ少し歩いたところで、地図を見ていると、これはひょっとして先日みちくさトークの打ち上げで案内された東京中華街とほぼ同じ地区ではないか(東京中華街は下の地図でトルコ金瓶梅としてある辺り)。当時の住所は豊島区池袋2-896。グーグルマップで見ると、どうやら現在のアパホテル池袋駅北口が建っている敷地内になるようだ。

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本だけならどうとういうことはない。ところが上の写真のように私信および写真が何枚も挟み込まれていた。恵投下さった某氏の手紙にはこうあった。

《荻窪ささま書店の100円均一で得ました。この区画整理については記憶があって、あちこち更地になった中を歩いて行ったこともあるのですが、この店にはまったく無縁でした。》

《旧所有者(税理士のようですね)宛のハガキ類と一緒に挟み込まれていた写真に写っている短髪の太りじしの人物は、むかしテレビなどでみたことのある悪役系?の俳優さんではないかと思うのですが、わからないのです。》


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俳優さんは写真向かって右の方。たしかに昔よく映画やテレビに出ていた人だ。名前が……分る方、お教えください。左の方がこの本の旧蔵者で「ささ」について一文を寄稿してもいる。

「ささ」は不思議な店である。
 僕が「ささ」を知ってから大分たつが、いまだにそう思っている。
「ささ」に寄ろうかな、と思うと必ず今日はどんな顔ぶれだろうかと思いをめぐらしてしまう。来店する人達が「ささ」の魅力あるメニュー(失礼!!)なのだ。ママというすばらしい指揮者のもとで、今日のメニューが、いや、楽団員が、どんな音色をだすのかが楽しみなのである。

この方の名前で検索してみると二〇一三年夏に亡くなられている。住所は杉並区下井草。ささま書店へ蔵書が処分されたのも頷ける。

挟んであった手紙(二〇〇一年一月)や年賀状(一九九七、九八、九九、〇八)はすべて「ささ」のママだった関マサから来たもの。年賀状に「九八年で八十才になります」とあるのでご存命なら九十六歳……。

常連客、寄稿者で小生が知っている名前を拾うと、山折哲雄、ワシオ・トシヒコ、鎗田清太郎、長谷川龍生、野見山暁治くらいだが、肩書きを見ると錚々たるメンバーだったということが分る。野見山はこう書いている。

《むかし、セザンヌに影響された中村彝という画家が、老婆の像を描いている。白髪をうしろで結んで細く柔らかい体に、背後の空間がのしかかった、少し淋しいあの絵が、はじめ「ささ」のおばさんだと思い込んだ。
 それから一年近くたって、やはり幸人さんと店に行ってみて、そんな年のひとではないことに気付きどぎまぎした。オバァさんの店があったよと誰彼に話していたからだ。
 どうしてそう思い込んていたものだろう。懐かしいような舌ざわりのものが小皿にのかって、知らぬまに置かれている。手狭な小屋のなかで、いったいどこから出てくるのだろう。あたりを取りまく暗い天空から、白い指が舞いおりてくるような塩梅なんだ。
 この慕わしさは老いた母の手のようでもあるし、初恋のひとのようでもある。どうして途中がないのだろう。ともかく現(うつ)し身の匂いがないんだな。だから彝の絵のなかに閉じこめてしまっていたのだろう。》

老婆の像というのは「老母像」(一九二四)。彝の世話をしていた岡崎キイを描いた最晩年の作である。




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by sumus2013 | 2014-02-16 20:55 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by 某氏です。 at 2014-02-21 21:28 x
俳優さんのお名前、わかりました。
粟津號(あわづ・ごう)さんです。
残念ながら、すでに亡くなっています。
Commented by sumus2013 at 2014-02-22 12:08
ゴリさんを殺したのもこの方でしたか、とにかくよく出ておられましたね。
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