林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ぼくのおかしなおかしなステッキ生活

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坂崎重盛『ぼくのおかしなおかしなステッキ生活(求龍堂、二〇一四年二月六日)到着! ひょうたん、明治の石版画、粋人随筆、絵のある岩波文庫、居酒屋、そして何より失われつつある(失われた)東京……こだわりオブジェの数々、そしてそれぞれのテーマごとに単行本を出してしまう。なんとも羨ましい、いや、いや、これは坂崎さんの人徳というか行動力というか、結局は才能であろう。

本書も長年暖めてこられたステッキの魅力を惜しげもなく披露に及んだきわめて楽しい内容、そしていつもながらの軽妙な語り口。

《ところが、われら日本人は明治以降、近くは昭和戦前まで、青年・壮年もステッキを手にする流行があった。気ままな、オシャレな気分、あるいは自己演出の小道具として杖、ステッキが愛用された。
 「必要もないのにステッキを持つ? そんな邪魔くさい、馬鹿げたことを!」と今日の人なら、ほぼ百パーセント思うだろう。》

《しかし、くりかえすが、戦前までは、ときには二十代で、まだ世に出ぬ学生ですら、ステッキを携さえている。今日の常識からは信じがたいことだ。
 ぼくも、それを知ったときは正直、びっくりした。そして興味を持った。また新旧、種々雑多なステッキと、さらには、ステッキが描かれた図版や文章を集めてみようと思い立った。》

《などと、殊勝めいたことを言っているが、ぼくは、なにより妙なステッキをコレクションすることと、その周辺の情報、とくに文芸の一節や世相漫画で描かれたステッキ画を見つけては、一つ一つファイルするのが楽しくて仕方がないのである。
 すたれた物、さびれた場所、消えつつある事柄に対する肩入れは、ぼくの宿痾であり、また、それこそがぼくが生きている主な理由、と自分では思っている人間なのだから仕方がない。》

と、どうです、この態度、これは「思想」と言っていい。同じ性癖をもつものとしてはまったく同感する。ただし小生にはそれを本にして刊行するだけのガッツ(いや、やはり人徳と言うべきだろうか、結局は才能か……)がないだけだ(トホホ)。だからいよいよこういう本には目がないのである。

ステッキそのもの、ブツについてもフリーメイソンのマーク付きだとか、仕込み杖だとか、種々様々なステッキの紹介を楽しめる。これも一楽。


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さらに文化史的な側面として漫画資料がふんだんに引用されている。これは坂崎本に共通する最大の特徴でもある。これが一楽。下は「ステッキ・ガール」の実在についての一頁。


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こういう本を読む・見ると、そういえば、あそこにステッキが出ていたな、などと思いつくことがある。それもまた一楽。

こちら、サルヴァドール・ダリ「テーブルとして用いられうる、フェルメール・ド・デルフトの亡霊」(一九三四年)。正確にはステッキじゃないが、この「支え棒」は数限りなくダリの絵画に登場している。ダリの代表的なオブセッションのひとつ。やっぱりステッキだろう……フロイト的に解釈すれば……。


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次も同じくダリ。「ホメロス礼賛」(一九四五年、アングルの同名作品のダリ的解釈)。これはまず間違いなくステッキでしょう。右の裸婦のすぐ上に。


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というような訳で、今後は戦前の風俗漫画だけではなく、東西の絵画を見る時にもそこにステッキが登場していないかどうか注意しておくことになりそうだ。モノ好きにおすすめの一冊なり。


坂崎重盛さんの新著『粋人粋筆探訪』
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坂崎重盛とは?
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坂崎重盛『東京読書ー少々造園的心情による』
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坂崎重盛翁の新著『神保町「二階世界」巡り及ビ其ノ他』
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by sumus2013 | 2014-02-06 21:22 | おすすめ本棚 | Comments(2)
Commented by yf at 2014-02-07 07:59 x
小生は安全をかねてステッキを持参しています。友人は「それでは平衡感覚が・・・・」と言われ、折りたたみにして鞄に入れています。そのうち、ステッキから杖に変わって行くでしょう。
Commented by sumus2013 at 2014-02-07 14:57
四本足、二本足、そして三本足…。
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