林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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短冊型の世界

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川崎彰彦詩集『短冊型の世界』(編集工房ノア、二〇〇〇年六月一〇日、装幀=粟津謙太郎)を購入。『夜がらすの記』を読んで以来、川崎さんの本がないかと探していた。探すとなるとなかなか見つからないものだ。むろんそれ相応の金額を支払えばめぼしいものは揃えられるが、そこまでするかとためらう気持ちもあるし、実際問題として『夜がらすの記』五千円、『まるい世界』四千五百円、『冬晴れ』三千百五十円という値段となると、そうおいそれとは注文できないのである。

ただし原点叢書の『まるい世界』と『私の函館地図』はそんなに高くない。いずれ注文しよう。『短冊型の世界』は『まるい世界』に対応したタイトルだろう。本文中に同名の詩篇がある。


 朝 ベッドから車椅子に移り
 居間へ移動する
 そのまま一日中
 本を読んだり テレビを視たり
 正面に玄関の硝子戸
 残暑のころから風と猫の通い路に
 すこし明けはなしたまま
 上部は暖簾で隠された短冊型の世界
 ぼくの唯一の外界だ
 [以下略]


本書は川崎彰彦の第五詩集。「I」が二度目の脳卒中で倒れた後、大和郡山で暮らし始めてからの作品(「短冊型の世界」を含む)、「II」がそれ以前の奈良市高畑住まいの時期の作品、および「III」が大阪読売に連載したコラムから成る。資質から言えば、詩人というより散文の人だろうが、それはそれとして味のある詩集になっているように思う。「II」から「山椿」


 部屋の出窓の
 北東面のガラスを透して
 こんもりとした椿の茂みがみえる
 張り出した厠にさえぎられて
 全部はみえない
 でも朝のひかりに葉簇は照り
 赤い花々は蘂を吐いている
 暦のすすむにつれて花数が増えてきた

 椿が好きだ と自覚したのは
 四十過ぎてではなかったろうか
 それまで 落ち首を忌むサムライの美学に
 とらわれていた
 花は桜木……なんて

 朝鮮戦争下の高校三年のとき
 反戦運動も 文化運動も弾圧され
 私は学校を追われた
 文芸部の雑誌『噴火』もつぶされた
 根絶やし後の暗鬱な季節に
 後輩たちが小さな文芸誌をつくった
 『山椿』ーー
 わるくない誌名だと思った
 それは後輩たちの さみしく純な心情を示していた

 椿のなかでも赤い椿
 濃い葉のあいだに小ぶりの花の簇り咲く
 山椿が好きだ

 いま部屋の窓からみえるのも
 山椿だろう
 もともと自生していたのを
 隣の家が建つとき 庭に囲いこんだ
 そう思いたがっている私がいて
 部屋にさしこむ朝日の縞のなかで
 山椿の繁みの明暗をみている


本書巻末の「川崎彰彦著作目録」を引き写しておく。



まるい世界   構造社 1970
        ファラオ企画 1991
わが風土抄   編集工房ノア 1975
私の函館地図  たいまつ社 1976
竹薮詩集    VAN書房 1979
虫魚図     編集工房ノア 1980
訳詩集アレクサンドル・ブローク 十二 編集工房ノア 1981
月並句集    編集工房ノア 1981
夜がらすの記  編集工房ノア 1984
二束三文詩集  編集工房ノア 1986
もぐらの鼻唄  海坊主社 1986
冬晴れ     編集工房ノア 1989
蜜蜂の歌    海坊主社 1991
樹の声鳥の歌  すみれ通信舎 1991(共著)
詩集『合図』  編集工房ノア 1992
新編竹薮詩集  海坊主社 1994



以上(なお『蜜蜂の歌』は本書では『蜜峰の歌』となっている)。この後になお二冊が続く。



くぬぎ丘雑記   宇多出版企画 2002
ぼくの早稲田時代 右文書院 2005



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『ぼくの早稲田時代』(右文書院、二〇〇五年一二月二五日、装幀=林哲夫)カバー。




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by sumus2013 | 2014-01-23 20:58 | 古書日録 | Comments(0)
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