林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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スピード太郎

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宍戸左行『少年小説大系資料篇1 スピード太郎』(三一書房、一九八八年五月三一日)を入手。とくに珍しい本ではないけれど、個人的にはうれしい一冊。というのも、この復刻版が出たときに欲しくて欲しくて、しかし買えなかった。定価4500円だから奮発すれば買えたはずだが、ビンボー性に取り憑かれていたのだろう。

それはちょうど高松の宮脇書店(香川県にはもう宮脇書店しか存在しないと言っても過言ではないくらいのオンリーワン書店)が海岸沿いの倉庫街に巨大な展示スペースを確保して並べられるだけの本を並べたスーパー書店をオープンした直後だったような気がする(今どうなっているか知らないが)。『少年小説大系』もズラリと揃っていた。しばらくそこで呆然とこの本を立ち読みした感動が甦ってくる。

ようやくにして奇麗な本を定価の三分の一の値段で求めることができた。ただし二十年以上かかったけど…。

手塚治虫のさきがけとして激しい動きをとらえたペンタッチと映画的アングルを駆使した画面構成にそれ以前の日本のマンガにはあまり見られなかったまさに「スピード」が満ちあふれている。

とくにこの復刻版は原画原稿からフルカラーで再現しているためその色彩の鮮やかさがまた際立った魅力となっている(一ページだけ原稿紛失のため印刷画が採録されている)。線描も色彩も日本人のものとは思えないハイカラさだ。それもそのはず宍戸は大正元年に渡米、カリフォルニアでアートスクールに通って絵を習いながら九年間も生活したのだという。それらの在米体験がこの作品のすみずみまでしみわたって登場人物たちを躍動させているように思う。


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ざっと読み通して思うのは現在に通じる機械文明(人間の考えが及ぶていどの)はすでにこの時点で(昭和五年十二月より『読売新聞』附録の『読売サンデー漫画』に連載、『よみうり少年新聞』に移って昭和九年二月まで継続した)あらかた出尽くしているということ。自動車、船、列車、飛行船、潜水艦、ロケット、ロボットなどはまあ当然かもしれないが、オスプレイもあれば、監視カメラも登場しているし、戦闘で手足首がバラバラになった兵隊を糊のような薬でくっつけて治療してしまったりするのにはちょっと驚かされた。

本書の年譜によれば、宍戸左行(ししど・さこう、本書の著者紹介欄では「さぎょう」としてあるものの宍戸自身が他の著書で「さこう」を名乗っている)は明治二十一年十一月五日、福島県伊達郡桑折町に生まれた。本名嘉兵衛。福島中学卒業。同校の英語教師に内村鑑三の弟内村順也がおり、終生師弟関係を続けた。アメリカでも内村順也と共同生活を送ったそうだ。

帰国後は毎夕新聞に入社し政治漫画を執筆した。昭和元年、日本漫画連盟結成、下川凹天、麻生豊、柳瀬正夢らとともに呼び掛け人となる。機関誌『ユーモア』編集長を勤める。東京日日新聞社を経て読売新聞社の漫画部へ。「スピード太郎」連載を開始。昭和十年、長谷川巳之吉の要望で第一書房から『スピード太郎』が刊行される。昭和十九年十月に郷里へ疎開。五年を過ごす。戦後は児童漫画を手がけ、さらに水墨画にも新境地を開いたという。昭和四十四年二月三日歿。

本書の「付録」栞に上記年譜とともに掲載された宍戸三沙子「父・宍戸左行の思い出」が身内ならではの非常にリアリティあふれる内容だ。例えば、昨日も出た内村鑑三についてその弟順也が吐いた悪口を書き留めてくれているのは貴重。

《亡父が順也の教育費として鑑三に預けた大金をすべて兄に費われてしまい、新聞配達などをして苦学して学校を卒業されたとかで、晩年は京都の次女宅に同居しておられたが、私が父と関西旅行の際泊めて頂いた時、鑑三兄の事を伺うと、「あのペテン師が」と低いが強い声で、最後迄怒っておられた。

う〜む、鑑三には鑑三なりの考えがあったのだとは思うが、チャリティーというのもほどほどにしとかないと身内にはいつまでも恨まれてしまうようだ。



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by sumus2013 | 2014-01-15 21:51 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by 牛津 at 2014-01-16 07:04 x
含蓄のある話ですね。チャリティで世人を助けても、身内を捨てては
何もならない、という教訓でしょうか。
Commented by sumus2013 at 2014-01-16 12:08
よかれと思っても恨まれることもあります。とくに身内同士で金銭がからむと難しいのでは…。あるいは本当にペテン師だったか。
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