林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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屠殺屋入門/墓に唾をかけろ

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ボリス・ヴィアン『屠殺屋入門 L’Équarrissage pour tous』(生田耕作訳、奢灞都館、一九七九年一〇月)を頂戴した。有り難うございます。

ヴィアンの戯曲のひとつ。一九四七年四月一五日に完成(ノエル・アルノー『ボリス・ヴィアン』)していたが、あまりにふざけきった内容だったため、手をつけようとする劇団が見つからず、アンドレ・レバーズによってノクタンビュル座舞で上演されたのは一九五〇年四月になってからだった。

連合軍が上陸するアロマンシュにある屠殺屋で、入れ替わり登場する(屠殺屋の主人だけが出ずっぱり)屠殺屋ファミリー、隣の男、ドイツ兵、アメリカ兵、フランス兵、その他の人々の間で繰り広げられるウルトラ・ナンセンスなドタバタ劇。一応中心には娘のひとりをドイツ兵と結婚させるという主題が設定されているが、はっきり言ってむちゃくちゃ。生田耕作は「訳者あとがき」でヴィアンの言葉を引用している(週刊誌『オペラ』インタビュー)。

《戦争、このばかばかしい代物が、(とりわけ)変っている点は、侵略的で押しつけがましいことであり、一般に、それを楽しむ連中は、それを楽しまない連中にまで、それを拡げる根拠が己にあると思い込んでいることだ。これは不寛容主義のあらわれの一つ、それもいちばん破壊的なものである。文字による、しかも人工的形式が効果を持ちうる限られた範囲で、私が反撃に出ようと試みたのはそのためである。》

《しかしそれらの意図は(そうあらんことを作者は願っているが)あまりはっきり表面に押し出されているわけではない。それどころか芝居はむしろふざけた形をとっている。戦争をだしにして笑わせるほうが意義があるように思えたからだ。そのほうが戦争を攻撃するいっそう陰険な、だがいっそう効果的な方法であるーーもっとも効果なんかくそくらえだが……。この創作はただ一つの目的を追っている。あまりおかしくもないしろものを使って人を笑わせること、つまり戦争を使って。》

というような戦争が終わって間もない時期に被害者も加害者も逆撫でするようなおちゃらけ劇を書いて上演するとは、ボリス・ヴィアンを見直した。戦争というばかばかしい代物に対して喜劇という限りなくばかばかしい代物で対抗する(ヴィアン自身が求めた解毒剤のような気がしないでもないが)。案の定《左右両陣営から囂々たる非難と迫害がこの軽喜劇に向かって浴びせられた》。お見事。痛いところを衝かれたから激怒する、これはいつの時代も変らぬ真実であろう。

原題の「équarrissage」はより正確には「皮・骨などを取るため食用にならない動物の死体を解体すること」。生田訳の苦心はそれとして、敢えて意訳してみれば「みんなバラバラ」くらいか、「みんなぐちゃぐちゃ」の方が感じが出るか。

ジャン・コクトーふうの表紙画を描いたジャン・ブーレ(Jean Boulet, 1921-70)はパリ生まれの漫画家、映画評論家。ヴィアンの『サン=ジェルマン=デ=プレ案内』にもイラストを提供しているし、『墓に唾をかけろ』(一九四六年)特装版や詩集『バーナムズ・ダイジェスト』(一九四八年)の挿絵を担当している。一九四八年四月にヴェルレーヌ座で上演された「墓に唾をかけろ」では衣裳と舞台装置を担当した。

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こちらはヴィアンがヴァーノン・サリヴァンの筆名で英語から仏訳したというふれこみで出版した『墓に唾をかけろ J'irai cracher sur vos tombes』(éditions du Scorpion, 1946)。架蔵のエディション・オリジナル。






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by sumus2013 | 2013-12-16 20:57 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by chara050505 at 2013-12-17 18:27
奢灞都館?
Commented by sumus2013 at 2013-12-17 20:02
使わせていただきました(笑)
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