林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ジョゼ・コルティ回想録

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ジョゼ・コルティ(José Corti)の『取散らかった思い出 Souvenirs désordonnés』(Éditions 10/18, 2003)読了。パリの新刊書店ジベール・ジョセフでセコハン本(オカジオン occasion)として購入したもの。元版はジョゼ・コルティ(版元の名前でもあり、書店の名前でもある)から一九八三年に出ている。

ジョゼ・コルティ(1895-1984)は一九二五年に同名の出版社を設立し、初期のダダ、シュルレアリスム関係の雑誌や単行本を刊行したことで知られる。アラゴン、ブルトン、エリュアールらの著書、ダリの『La Métamorphose de Narcisse』(1937)やジュリアン・グラック『Au château d'Argol』(1938)は代表的な出版物。ガストン・バシュラールなど学者系の著述家たちとも繋がりは深かった。

以下、今年の六月に訪れた(前を通った)ジョゼ・コルティ。難しそうな主人が帳場に座っていた。ひょっとして息子さん(?)。店頭に見切り本の函(自社の出版物がほとんどだったと思う)。これは欲しいものがいくつもあった。ドラクロアの日記が安かったけれど、広辞苑くらいの分量があったので諦めた。

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ジョゼ・コルティの文章は凝っていて読みにくかった。内容も濃厚で二大戦間のフランスの文壇事情をもう少し知っていれば興味深いのだろうが、小生のような者には消化しきれない感じ。しかし部分的には面白いと思うところもなくはなかった。

例えば、ポール・ルブー(Paul Reboux、小説家、批評家)から頼まれて装飾用に古本を買いあさった思い出話(拙訳で申し訳ない)。

《ポタン氏、フェリックスの息子、とそのひとりの友人、から数メートルの本を買い求めるように「目利き」として依頼されたルブーは、それを私に見つけてくれと言って来た。ポタン氏が手に入れたばかりのクロワッセのホテルの広大な図書室に飾り付けるためだという。私の役割に難しいことはまったくなかった、絶対ではないがかなり断固としたふたつの要求を除いては。革装の本でなければならない。そしてそれらは装飾となるものであってほしい、値段はなるべく安く。

残念ながら、河岸の古本屋を一時間も歩けば、わずかな金額で数メートルの見栄えのいい古書を買えるような時代は過ぎ去っていた。古道具屋の主人たちはそれらを長い間シガーの箱やワイン貯蔵庫に入れて標本にしていた。かなり探してようやく望む長さだけの本を見つけた。ある日、二台のタクシーに雑多な獲物を詰め込んだ。これがまだエレガントな曲線形をしていなかったかつてのタクシーで、特別に体を折り曲げたり、しなやかでなければ乗り込めないというものではなかった。ちょっと頭を下げるくらいで乗り込めたのである。この日以来、私はカルーゼルの中庭をこのときの小さな旅を印象付けた哀れにも滑稽な事件を思い出すことなしに横切ることはできないのだ。

本は梱包せずに詰め込んだ。タクシーの中いっぱいになった。すべては問題なく運んでいた、私が運転手のそばへ場所を移るその瞬間までは。ルーヴルの切符売場を出てタクシーはカーブを切った。このとき、古本の塊が激しくバランスを崩し、自動車の片方の側に集まった。ドアの鍵に力がかかり、物質の悪意は私の積荷をして遠心力の法則に従わしめたのである。ドアは開いた。すべてのものが一瞬動きを止め、次の瞬間、伝書鳩の小屋が開かれたときのように、古本は飛ぶように放り出された。何百という優雅な曲線を描きながら。そしてカルーゼル通りの舗道の上に雑多な色のモザイク模様を付けたのである。》

フェリックス・ポタンというと八〇年にパリにいたころにあちこちで見かけたスーパーマーケットである。一八四四年に創業して食料品業を近代化して発展したが、最近まったく見ないと思ったら、一九九五年に消滅したそうだ。
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by sumus2013 | 2013-11-07 21:58 | 古書日録 | Comments(0)
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