林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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パン語辞典

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ぱんとたまねぎ著・荻山和也監修『パン語辞典』(誠文堂新光社、二〇一三年一〇月二〇日)が届いた! 四月に著者のばんとたまねぎこと林舞さんが来宅。パンをデッサンの消しゴム代りに使う実演を取材してくれた。本書では「けしごむ」の項目に制作中の写真入りで登場。髪の毛が伸びていたためシェーのイヤミみたいなキャラになっている(笑、気になる方はぜひお確かめください。写真はもう一枚、埋草みたいに使ってもらってます)。

当たり前ながら全編パン、パン、パン、パン、パンのオンパンレード。ふんだんに盛り込まれたイラストも軽妙で分かりやすくアール・アバウト・パン(ブレッドですかな)を図説、ついついつりこまれて読んでしまう。南陀楼綾繁氏や遠藤哲夫氏、『らくたび文庫 京都のパン物語』にも登場していたガケ書房の山下賢二氏らのエッセイもある。

パン好きの妻に「こんな本できたよ」と見せた。しばらくして返されて来た本には付箋がふたつ。ひとつは「パンの作り方 町のパン屋さん編」の頁、そしてもうひとつは「焼き網」(パンを1分間でおいしく焼くことのできる奇跡の網。京都・金網つじの初代当主・辻賢一さんが考えだしたもの)。なに、作って焼きたいということ(?)

「パンの食卓 ことわざ」という中綴じもある。《愛はバターと一緒、パンがあってこそうまくいく(ユダヤ)》とか《粉と水の夫婦(ポルトガル)》とか《パンと葡萄酒で道を歩く(スペイン)》とか《仕事は辛いがパンはおいしい(ロシア)》とか、お国柄も出ていて面白い……おや、フランスのことわざがないな。

と思って調べてみた。パン(日本語のパンはポルトガル語からきているが、フランスでも「パン pain」で通じる)を使った慣用表現はたくさんあり、ありすぎるくらいだが、ことわざとなると案外少ないかもしれない。

A pain dur, dent aiguë
堅いパンには鋭い歯(適材適所?)

Les mains noires font manger le pain blanc
黒い手が白いパンを食べさせる(稼ぐに追いつく貧乏なし?)

Mettre le pain à l'envers empêche les amours
逆さま(裏返し)にパンを置くと恋人たちが別れる(トゥーレーヌ地方の迷信)

昔、パンの出て来る文章を集めていたことがある。久し振りにファイルを取り出してみた。ユゴー『レ・ミゼラブル』にはこんなことが書かれている。

《半年分のパンをつくり、乾いた牛糞で焼きます。冬は、このパンを斧で割り、食べられるようにするには一昼夜の間、水にひたします。》

パンの国フランスも昔はこんなふうだったのである。日本で鏡餅を水に浸けておくというのと少し似ているような気がする。

《私の家ではたまに日曜日の朝パンを食べたが、父の生きていた時のように生の食パンだった。その時私はトーストという言葉を知らなかった。「丸いフランスパンか、生の食パンの方が好きだわ」と思った(そう思ったのに、次の年頃から家では火鉢に餅焼網をのせパンを焼くようになった)。》(三宅艶子『ハイカラ食いしんぼう記』)

昔(これは戦前の話)は焼き網でトーストしていたのである。

《やがて好い香のするトーストと濃いけむりを立てるウーロン茶とがお延の手で用意された。》
《下女が皿の上に狐色に焦げたトーストを持つて来た。「お延、叔父さんは情ない事になつちまつたよ、日本に生れて米の飯が食へないんだから可哀想だらう」》(夏目漱石『明暗』)

漱石の描くトーストも餅焼網で焼かれたのだろうか?

《すぐに人が真似をいたしませんでしょうか。戦争の跡に出来たロシア麪包のように》(森鴎外『青年』)

本書『パン語辞典』によれば日本初のパン屋は横浜に一八六四年(元治元年)にできたヨコハマベーカリー(のちウチキベーカリー)だそうだが、日露戦争や第一次大戦(およびロシア革命)によって普及し始めたようである。フロインドリーブもたしか捕虜だった。

《与謝野寛が「パンパンとわろき売り声、ロシヤパン売りの悲しさよ」といふ詩を作つてゐる》(森銑三『砧』)

《大正時代にはロシア革命で日本に亡命していた白系ロシア人がロシアパンというものを売りに来たし、関東大震災の直後には「玄米パンのホヤホヤー」と呼び歩く行商などを見かけたが、チャリ舎のパンは箱型の馬車を驢馬に輓かせていた。》(野口冨士男『私のなかの東京』)

『パン語辞典』で「ろばのぱん」の項目を見るとこうある。

《昭和6年頃、札幌の『ロバパン石上商店』(現ロバパン)がロバに荷車をひかせてパンを売り歩いたことが始まり。昭和30年代になると、京都を中心にオリジナルの歌とともにロバに四輪馬車をひかせて蒸パンの移動販売がはじまりました。》

昭和30年代、小生の田舎でも歌とともにロバのパン屋はやってきていた。たしかにロバがひいていたような気がするが、戦前からあったものなのだ。ガッテン、ガッテン。

パンの文化史、面白い。一家に一冊『パン語辞典』! 原画展、トークイベントなどが催されるようだ。下記ブログなどでチェックされよ。

誠文堂新光社 パン語辞典
http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=3962

ぱんとたまねぎ パン語辞典
http://d.hatena.ne.jp/pantotamanegi/20131001/p1
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by sumus2013 | 2013-10-29 22:03 | おすすめ本棚 | Comments(5)
Commented by nabetsuma at 2013-10-29 23:13
>作って焼きたいということ(?)
違うってば! 
そのページに掲載されてた角食パンが美味しそうだったから、
どこのパン屋のかな?って。

あと、パン焼き網は、昨今の安全センサー付のガステーブルで
使えるんだろうか?って思って。
Commented at 2013-10-30 00:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sumus2013 at 2013-10-30 13:20
残念ながら(?)他人の空似です。
Commented by sumus2013 at 2013-10-30 19:17
北九州市のいちかわ製パン店のようだよ。
Commented by akaru at 2013-10-30 22:39 x
あ、そうなんですか、それは失礼いたしました。
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